「木城えほんの郷」は宮崎県児湯郡木城町石河内にある。本当に山の中にある。
自然が豊かで、ここにはたくさんの絵本が置いてある。
私は、宮崎市に住んでいて、ここに行くのは少し遠い。山道の中を車で移動するため、小さいころはここに来るまでが億劫だった。
それが、移動時間まで楽しくなったのはいつからだろう。
おそらく小学5年生のあの夏。「10才のひとり旅」に初めて参加した夏からだ。
「10才のひとり旅」とは、小学4年生から6年生が4泊5日、親元を離れてえほんの郷に宿泊しながら、ワークショップなどをして遊ぶ行事である。
小さな弟とその友だちを連れて、初めて子どもだけで電車に乗った11才の夏。ちゃんと目的地まで行けるかドキドキだった。まさに「10才のひとり旅」。ちょっと大人になったような気がした。そこでの5日間はあっというまだった。いかだに乗ったり、川遊びをしたり。まるで絵本の中の主人公になったようだった。
大学生や社会人の青年スタッフの方に見守られながら、テレビもゲームもない世界で一生懸命遊んだ。テレビやゲームがなくても、自分の体や自然のものを使えば、ゲームよりも楽しいことができるということに気付いた。
友だちもたくさんできた。お姉さんみたいな子。妹のように仲良くなった子。あの5日間を共に過ごした子どもたち、青年スタッフはまるで、もう1つの家族のような存在になった。
楽しすぎて次の年も行った。「10才のひとり旅」の思い出は私にとってかけがえのない記憶だし、えほんの郷が私にとって「小学生の思い出の土地」になった。
(続きます)