2017年1月から2017年3月にかけて
TBS系列で放送されたテレビドラマ、
『カルテット』。
もしカルテットの魅力に
関する記事が読みたくて
こちらの記事にたどり着いた方が
いらっしゃったら、すみません。
こちらではカルテットの魅力うんぬん、
についてはふれません。
カルテットの魅力については、
たくさんのすばらしい記事が
すでに世の中にありますので、
そちらをご覧いただければと思います。
この記事では、ただひたすらと
すてきなひびきなんだけど
なんだか口に出してもしっくりとこない、
「夫さん」ということばの
つかいかたを考えてみようと思います。
『カルテット』の作中では、主要人物である
「巻真紀」さんの夫さんは生きているのか、
そしてもしかすると
巻さんが夫さんを殺したのか、という点は、
物語終盤まで大きなミステリーの
ひとつとなっていました。
そのために、ほかの登場人物たちが
しきりに
「巻さんの夫さんは、」と
口にだします。
「夫さん」。
丁寧だけど不器用なおとなたちによる、
カルテットの世界観に合っている
ひびきを持っていて
すごくよいことばだなぁと感じました。
ですが、
わたしは現実世界で
「夫さん」ということばを発している人に
会ったことがありません。
聞きなれないからこそ、
不思議な余韻をのこす
この「夫さん」ということばを
とても気に入って、
じっさいにつかってみたくなりました。
それで先日、
友人と話している時に言ってみました。
「夫さんは、元気?」
一瞬、きょとんとして、
少し間をおいてから
「あ、夫さんってカルテットのやつ?」と返す友人。
「そうそう、つかってみたかったんだ」と
わたし。
ふだん聞き慣れないことばを
突然聞かされると
やはり人は一瞬、
きょとんとしてしまうのかもしれません。
もしカルテットを
まったく見ていなかった友人にむかって
「夫さん」ということばを発してみたら、
どんな反応がかえってくるのか。
これはちょっとばかし興味があるので
そのうちに思い出したときに、
ためしてみたいと思います。
では、やっと本題。
「夫さん」をどうしたら自然につかえるのか
考えていきたいと思います。
まず、「夫さん」をつかう
シーンを想像してみます。
「夫」に「さん」をつけるシーンとして、
いちばん考えられるのは、
目の前にいる既婚女性(あなた)にたいして、
その夫さんの話をするとき。
「あなたの夫さん」。
それから、
その場にいない既婚女性(あの人)の
夫さんの話をするとき。
「あの人の夫さん」。
そんな感じで、すごくざっくり言うと、
「あなた(二人称)の夫さん」か
「あの人(三人称)の夫さん」か、
だいたいこの2パターンな気がします。
こんなシーンのとき
よくつかわれる
「夫さん」に代わる呼び名と言えば、
「だんなさん」、「ご主人」でしょうか。
わたしも実は、ふだん
「○○さんのだんなさん、ご主人」
という呼び方を
いちばんしてしまいます。
ただどうしても、
だんなさん、ご主人ということばには
そのことばのなり立ちから
「一家の主人」、「商家の旦那」というような
「主に一家の生計を担い、一家の決めごとの決定権を持つ人」というかんじの
意味合いが多少なりともふくまれてしまいます。
そのことばを発している本人には、
おおかたのばあい、そんな気はないのですが・・。
じゃあ、
カップル・夫婦のどちらが主従という
意味合いをあまり感じない
「夫さん」以外の呼び方はないでしょうか。
「夫さん」と似たような雰囲気がある
ほかのことばについて考えてみて
「夫さん」のつかいかたの
参考にしたいと思います。
相方さん。
パートナーさん。
このあたりでしょうか。
同居人さん、というと
ただ一緒に住んでいるだけで
夫婦関係な感じがしないですね。
配偶者さん、というと
これは法律用語になってしまって
すこし、かたいかんじですね。
ユアハズバンド、ユアワイフ、
と英語で言うのは
ちょっと勇気が必要ですね、
やはりいちばん
参考になりそうなのは
相方さん、パートナーさん、のあたりの
つかいかたな気がします。
そういえば、
大学生だったときにはじめて、
自分の彼女を「相方」と呼ぶ女性に会いました。
そのとき、「彼氏」と呼ばずに
「相方」と呼ぶ彼女に
意思の強さと、なんだかたくましさを感じました。
最初は、
彼女が発する「相方」ということばに
違和感があったのですが
だんだんと彼女の性格と
「相方」という表現が一致しているように
思えて、
逆にしっくり来るように感じてきたのを
覚えています。
「夫さん」のつかいかたも、
ここにあるのかもしれません。
使い慣れないとき、
聞きなれないときは
そのことばを発するほうも聞くほうも
むずがゆいけれども、
何度か口に出してつかっていくうちに
ことばがその人になじんでいく。
そのうちに、自然と
「夫さん」ということばをつかう●●さん、
として認識されるようになる。
こんなかんじでしょうか。
ふしぎなもので、
ことばってつかううちにその人に
なじんでいくし、その人をかたち取るものに
なるなあと思います。
上品な人になりたかったら、
意図して上品なことばをつかいつづける。
前向きな人になりたかったら、
意図して上品なことばをつかいつづける、
というかんじで。
「夫さん」の、つかいかた。
最初は違和感があるけど「夫さん」とつかい続けていれば、
ことばがその人になじんでくる。
なんなら、セットで「妻さん」とも言ってみるようにする