- ふなわ
- 新しい作品がホームページにアップされるのを、いつも楽しみにしてます。
- 木籐
- ありがとうございます。
- ふなわ
- ぼくが好きなのは、ガリバーと、この鬼・・・
- 木籐
- 鬼ですね。
- ふなわ
- これってみんな・・・
- 木籐
- 公園にある遊具です。日中はこの周りで、たくさんの子どもたちが遊んでいます。
- ふなわ
- 写真には人がまったく写ってないんですけど。
- 木藤
- 誰もいなくなってから撮るんです。だから撮影は、夜、暗くなってから始めてます。
- ふなわ
- 夜、おひとりで。
- 木籐
-
そうですね。
夕方から撮影の準備を始めるんですけど、まずは遊具の周りをぐるぐる、20~30分かけて歩き回って、一番いいアングルを決めます。これだっていう角度が決まったら、カメラを三脚に固定します。
- ふなわ
- 夜の公園で、大人が遊具の周りをぐるぐるっていうのは、なかなか・・・
- 木藤さん
-
お巡りさんから職務質問を受けることはよくありますね。
ご近所の方が心配されて、通報しているのかもしれません。
いざ撮影、というタイミングで、近所の民家から「ちゃぽん、ざざざ-」と入浴する音が聞こえて、泣く泣く断念したこともありました。
近隣のみなさんにご迷惑はかけたくありませんから、仕方ありません。
- ふなわ
- 夜の学校もそうですけど、昼間にぎやかな場所ほど、夜って怖くないですか。
- 木藤さん
-
怖いです。
公園の隣が、墓場だったことがありました。
撮影に夢中になっていた時、背後から「ゴソゴソ」って音がして。背中に視線を感じるんです。
- ふなわ
- それって、もしかして。
- 木藤さん
-
バッと振り返ると、ネコでした。
逆に、にぎやかな車やバイクの音が近づいてきて、「こっちに来るな、来るな」って、別の種類の汗が背中をつたったこともありますけどね。
- ふなわ
- 作品の陰に、見えない幾多のドラマが。
- 木籐さん
-
一つの作品を仕上げるまでも、とても時間がかかっています。
三脚にカメラを取り付けたら、ライトスタンドを手に遊具に登って、遊具を照らし、リモコンでシャッターを押します。少しずつ照らす場所を変えては、同じ作業を繰り返すんです。
- ふなわ
- 遊具って大きいものもありますよね。ライトで照らせる範囲にも限りもある。
- 木籐さん
- 全長10メートルの遊具だったら、100回くらいシャッターを押しますね。撮影はだいたい、3時間かかります。
- ふなわ
- 3時間!
- 木藤さん
- 助手がいれば楽なんですけどね。でも、それで終わりじゃなくって、その後、約30枚分のデータを重ね合わせる作業が待ってます。この編集もだいたい、半日はかかります。
- ふなわ
- 半日!!
- 木藤さん
- こうやって、暗闇に遊具が浮かび上がるような写真になるんです。目指しているのは、博物館に展示される恐竜骨格のような雰囲気。遊具だけをかっこよく見せたいんです。
