- 糸井
- (ピッ)
- ♪~
- う~つ~くしさぁ~があるぅ~か~ら~
- 糸井
- あれ、来ないね。
- 田中
- (バタン!)
- ♪~
- リンダリンダァ!
- ♪~
- リンダリンダリンダァー!
- 糸井
- ハハハハ!
- 田中
- どうも、あの、今日は。
このモンドセレクションを。
大阪キャラメルプリンケーキを。
- ――
- (笑)
- 糸井
- いつもありがとうございます。
彼はもうね、ミスター手土産ですから。
「手土産研究家の田中さん」というふうに
僕は認識していますから。
- 田中
- ええと、いつからそんなことになったんでしょう。
- 糸井
- いやいやいや(笑)
でも、どうしてそんなに手土産を。
営業か何かをやっていらっしゃったんですか?
- 田中
- 全くやったことがないんですよ。
全くやったことはないけれど、それでも
貰うとうれしいという経験が、すごく大きくて。
- 糸井
- うれしい経験が、大きい。
- 田中
- 自分が持って行くものは、
大体つまらないものなんですけれどもね。
ほぼ日さんに伺ったときは、
逆にめちゃくちゃイイものが貰えたり。
- 糸井
- そんなのあったかなぁ。
- 田中
- ほんとうに。
ジャムだったり、カレーの恩返しだったり‥‥。
やっぱり手土産の紙袋をくれるんです。
- 糸井
- あぁ、うん。うん。
- 田中
- やっぱりそれはうれしいですし、あとは家族が喜ぶんです。
- 糸井
- 田中さんなんか
「僕が持ってくるものは大体つまらないものです」って。
- 田中
- 僕はすごく、それが
いいコミュニケーションだと思っているんです。
受け取った側が「いやいや」と謙遜するのとは違いますよ。
- 糸井
- うんうん。
- 田中
- 昔、田村正和さんにね、車のミニカーをね。
テレビドラマの中で田村さんが乗っていた車のミニカーを、
喜んでくれるだろうと思いつつ
「つまらないものですけど」と言って渡したんです。
そしたら「本当につまらないね」って、あの独特の口調で。
- 糸井
- (笑)
- 田中
- でもね、そう言いながらも楽屋に置いていかないで、
かばんにしまってくださって。
それすごく、すごくいいなぁって思いましたね。
- 糸井
- あと、そう。お花見問題。
- 田中
- ハハハハ、それは大問題じゃないですか。
- 糸井
- 今だから言える、秘密のようなものですよね、これは。
田中さんは関西電通支社におられたじゃないですか。
その部署に、たくさんおもしろい人が居たんですよ。
- 田中
- とにかく、東京の作っているカッコいい広告に
どうにか関西ノリで
カウンターパンチを食らわせようとして(笑)
そのときの中心が堀井博次さんだったんです。
堀井さんと糸井さんは
30年前くらいに一緒に仕事をしていたんですよね。
その久しぶりの再会の場が、例のお花見だった。
- 糸井
- 堀井さんと個人的には会っているんだけれども、
電通の関西チームの皆さんで、というのは
そのときがはじめてだったからね。
若手として存在している田中さんの案内で、
お花見に行ったんですよ。
- 田中
- そうそう。
- 糸井
- で、僕と田中さんは初対面なんです。
ツイッターのメッセージで
京都の駅で何時に、とか待ち合わせをして。
「どうも、どうも」という感じで会ったんです。
紙袋をさげていたんですよ、田中さんは。
それも複数。
- 田中
- (笑)
- 糸井
- 「糸井さんにお渡しするものですけれども、
つまらないものですが荷物になりますから、
僕が帰りまで持っています」って言って。
渡さないってところに知恵を使っている。
それでもう一つ、重いものを持っているんですね。
これは一升瓶。
- 田中
- のしに「糸井」って書いてある一升瓶を。
大阪のデパートでね、用意したんです。
- 糸井
- 「チームの方たちは酒さえあれば
機嫌がよくなるので、これは糸井さんからの
差し入れということにしてください」と言われるんです。
なんだその、どこぞのプロンプターですか!って。
- 田中
- ハハハハ!
- 糸井
- とってもいいの、いいんだけど、
騙されているような、いないような‥‥。
- 田中
- 小賢しいといいますか。
- 糸井
- あまりにも用意周到すぎて、
もう笑っちゃって笑っちゃって。
どうしたらいいかわからないもんだから、
ここは田中泰延に任せてしまおうと思いました。
- 田中
- 遅れて行ったんですよ。
なんたって特別ゲストの糸井重里さんですから、
みんなが既にちょっと呑んでいるところに
お連れしました。
事前に「一升瓶は糸井さんからって言ってください」
とお願いしまして。
そしたら糸井さん、すっごい小さい声で
「あのぅ、これ、僕が‥‥。」って言うんです。
- 糸井
- (笑)
- 田中
- 本当に、本当に後ろめたそうに出すものだから(笑)。
でもそこで「ウワァーッ!」って湧くんです。
酔っ払いだから包み紙をぐしゃって取ると「糸井」って
書いてあるもんだから、また「ウワァーッ!」って。
- 糸井
- すごいの、ね。
- 田中
- 喜び方がもう、ね。
尋常じゃないくらいに湧いて。
- 糸井
- 焚き火にガソリンを注いだみたいに。
こういうの持って行ったら喜んでもらえるんだなあと。
きっと関西特有のいいノリみたいなものなんですね。
- 田中
- 本当に瞬時に開けて。
- 糸井
- そうですね。
- 田中
- ひょっとしたらイトイコールが
起きるんじゃないかなってくらいの‥‥。
- 糸井
- 酒!
- 田中
- そう、酒。
「酒あるぞ!」で、全員一斉に注いで
一斉に呑んじゃいましたね。
- 糸井
- なのにそこにいるメンバーは、馬鹿じゃない。
- 田中
- うん。
- 糸井
- そこがずるいところで、
「馬鹿」と「馬鹿じゃない」が
同一平面上にあるんですよね。
いやぁ、ずるいなぁ。
(つづきます)