もくじ
第1回音楽と、幼い頃の思い出 2017-11-07-Tue
第2回スピッツのイビツで真っ直ぐなことば 2017-11-07-Tue

音楽と洋服が好きな大学生です。3年前に上京してきました。ひとりのときは雑誌を読んだり、映画を見たりしています。

スピッツと私と、ことば

スピッツと私と、ことば

担当・のん

幼い頃に何度も何度も繰り返し聴いていたスピッツ。
8年後に聞くと、曲の捉え方も、
「好き」の気持ちも変わっていましたが、
好きなことには変わりませんでした。

スピッツが好きだからこそ、
今の私は、気持ちを複雑に細かく捉えることや、
それを伝える「ことば」に興味を持っているのかもしれません。

私が感じる、私なりの「好き」の気持ちを
試行錯誤しながら、捉えて、書いてみました。


私のスピッツとの関係と、
スピッツを好きだと思う「好き」がどんな気持ちなのか、
そして、
私がスピッツに感じる魅力のひとつである、
歌詞についての2回の連載です。

どうぞよろしくおねがいします。

第1回 音楽と、幼い頃の思い出

私が初めてスピッツと出会ったのは、小学校低学年の頃でした。

中学生になった4歳上の兄が音楽に興味を持ち始め、
音楽好きの両親が集めていた膨大な数のCDの中から
見つけて聴き始めたのがきっかけでした。
それから兄のブームが終わるまでしばらくの間、
家でも車でもずっとスピッツの曲がかかるようになり、
当時の私はそれをあくまで受け身で聞いていました。

もう一度、スピッツを聞くようになったのは、
それからしばらく経って、高校に入学した頃でした。

学校帰りにカラオケに遊びに行くようになり、
ランキングに『チェリー』が入っているのを見つけました。
「スピッツ、昔よく聞いていたなぁ」
という懐かしさで選んでみたところ、
幼い頃に何回も何回も聞いていたからか、
メロディも歌詞も自然と口をついて出てくるのでした。

だいたいの女子高生にとって、スピッツは
「『チェリー』や『ロビンソン』、『空も飛べるはず』を歌っていた、
昔流行っていたバンド」
という認識でした。

懐かしくなって家でCDを聞いてみると、
初めて聞いてから8年近く経っているのに、
曲は全く古く感じませんでした。
それから、音楽プレイヤーに入れて自主的に聞くようになりました。

自然と家や車のスピーカーから流れていた幼い頃とは違って、
誰とも音楽を共有せずに、
ひとりでイヤホンをして聞いていました。

高校でダンス部に所属し、周囲の目に敏感な思春期真っ只中の私は、
J-POPや洋楽、ダンスミュージックの流行を追いかけながら、
無意識のうちにこっそりと、スピッツを聞いていました。

それでも、自分の中で
「遠くに引っ越す友達と最後に遊んだ日、
帰り道の車でふと『楓』が流れて、お母さんに隠れて泣いていたなあ」
とか、忘れていたことと、そのときの気持ちをたくさん思い出すのでした。

「私の好きなもの」について考えたとき、
今ハマっているものが、いくつかパッと思いつきました。
それについて書こうと、自分のことを思い返していると、
気がつけばスピッツにたどり着いていました。

小・中学生の頃からの親友たちとは、普段あまり連絡を取りません。
それでも、ふと地元に帰って会えば、
昔の気持ちを思い出して、楽しい時間を過ごすことができます。
私にとって「ほんとうに好きだ」と感じたものは、
穏やかに、ずっと心の奥にある、そんな存在なのだろうと思います。

第2回 スピッツのイビツで真っ直ぐなことば