もくじ
第1回セットでなきゃ、だめなんです 2017-11-07-Tue
第2回『旅と音楽』がわたしに教えてくれたこと 2017-11-07-Tue
第3回旅の相談役、引き受けます 2017-11-07-Tue

音楽と旅行が好きなアラサー女子。地方で食べるおいしい食べ物とお酒が大好きです。

わたしの好きなもの</br>『旅と音楽』

わたしの好きなもの
『旅と音楽』

担当・蒼山静花

旅に出ることが好きな人。音楽を聴くことが好きな人。
それぞれを『趣味』として楽しんでいる方はたくさんいると思います。

わたしは、旅も音楽も両方好きです。
むしろ、『旅と音楽』が両立できている状態が一番好きなのです。
どちらか片方じゃ、だめなのです。

「旅と音楽の両立ってどういうこと?」
と思う人もいるかもしれません。
わたしが好きな『旅と音楽』について、どのような状態のことを言うのか、
わたしはどうやって『旅と音楽』を両立させ、楽しんでいるのかをご紹介します。

第1回 セットでなきゃ、だめなんです

「またライブ遠征?」
この言葉、今までの人生のなかでもう何度も聞いた。
確かにわたしがしていることは『ライブ遠征』なのかもしれないけど、
ただライブを観に行くためだけに遠出をするわけではない。

わたしは、『そこでしか得られない思い出』をつくりに行くのだ。

もともと、物心ついたころから音楽が好きだったわたし。
父親がなぜか会社にCD屋さんが来るからといって、
月に何枚もCDを買ってきていたし、
当時は毎日のようにゴールデンタイムにオンエアされていた音楽番組を、
わたしは学校から帰ってきてから制覇する勢いで観ていた。
そのせいか当時のヒット曲は大抵知っていたし、
何なら懐メロ枠で流れてくる音楽も口ずさめるような、そんな学生だった。

歳を重ねるにつれて、好きな音楽のジャンルが定まってきて、
好きなアーティストもできて、
その人のライブに行ってみようと思ったときに、ある問題が起きた。

‥‥ライブのチケットが取れない。

わたしは、神奈川県出身。
好きなアーティストのライブが開催されるとなると、
横浜のライブ会場か、ちょっとがんばって足をのばして
都内のライブ会場まで行くことになるのだが、
チケットを手に入れるためにファンクラブにまで入ったのに、
一番近場 東京で行われるライブのチケットに落選してしまったのだ。
当時、そのアーティストは人気絶頂期。
やはり都心でのライブはお客さんが殺到するらしい。

「これはまずい。どうしよう。」
一緒にライブに行こうと約束をしていた友人と作戦会議をし、
わたしたちが出した結論は‥‥

「静岡まで行っちゃおう!」

実は、東京公演のチケットが外れてしまうのではないかという予想をして、
次に近い静岡県で行われるライブにも申し込みをしていて、
そちらは当選していたのだ。
当時、わたしたちは高校3年生。
大学受験を控えているタイミングでのチケット応募で、
これを餌に大学受験をがんばるつもりだった。
がんばる糧がなくなってしまったら、わたしたちは困る。
親の了承は得ていなかったけど、
静岡県だったら東海道線に乗っていたらそのまま着くし、
『卒業旅行』という名目にすれば行けるだろう。
そう考えて、静岡までライブを観に行くことにしたのだ。

そしてライブ当日。
なんとか進学する大学も決まったわたしたちは、
地元駅から青春18きっぷをつかって、鈍行列車で静岡県静岡市まで行った。
隣だし、と思っていた県が横に長く、
目的地の静岡駅まで2時間半近くかかって驚く‥‥といった
ビギナーズラックにはありがちな体験をしつつも、
ライブが始まる時間まで、前もって調べておいた
現地のおいしいものを食べたり、観光をしたり、
ちょっとおしゃれなカフェに入ってみたりと、その土地を楽しんだ。

そのあとに観たライブもとにかく最高だった。
大人になった今だったらハイになって、
そのまま「飲みに行こう!」と言いたくなるぐらいの気分だったが、
まだお酒も飲めない歳。
夜の街に繰り出すなんてこともできない歳だったので、
ホテルの近くのファミレスでごはんを食べた。
そのとき食べたごはんは、なんてことないハンバーグ。
なのに、いつもよりもおいしく感じられたような気がした。

そんな経験をしてから、わたしは観たいライブがあったら、
多少遠くても足を運ぶようになってしまった。
それは、熱狂的に好きなアーティストがいて
『追っかけ』をしているわけではなく、
知らない土地に行って、今住んでいる場所では食べられない
おいしいものを食べたり、見ることのできない風景や名所を見たり、
その土地独特な空気を身体いっぱいに吸い込んだうえで観るライブが
とても楽しいからだ。
これがセットでついてくるから、
わたしは『旅と音楽』の体験を重ねることがやめられない。

第2回 『旅と音楽』がわたしに教えてくれたこと