もくじ
第1回 2017-11-07-Tue
第2回 2017-11-07-Tue
第3回 2017-11-07-Tue

本と、横浜と、モーニング娘。がすきな大学生です。ほぼ日手帳は高校生の時に出会って以来使い続け、6年目になります。

私の好きなもの</br>チェーンのカフェ

私の好きなもの
チェーンのカフェ

担当・いるか

みなさんには「行きつけの喫茶店」って、ありますか?

私の友達はインスタで話題の渋谷の人気カフェに通いつめ、
お洒落な店員さんと仲良くなり、
ついでにカフェで出会った外国人と友達になっていたり、

また違う子は雑誌の喫茶店特集で紹介されている
吉祥寺のちいさなこだわりカフェに通っていたりと、
ステキ行きつけの喫茶店ライフを送っています。

聞いておいてアレですが、私には、ないんです。
ほんとは私も、「行きつけの喫茶店」を持つはずだったんですけどね。
でもやっぱり、スタバが、エクセシオールが、ドトールが、大好き!

第1回

高校生のころから、私には夢があった。
—それは、「行きつけの喫茶店」をつくることである。

行きつけの喫茶店、
なんて素敵な響き!
どう考えても「行きつけ」と「喫茶店」、
構成要素の両方にロマンがあふれているではないか。

そう、
そこは私の通う(予定の)大学のごく近くに位置している、
個人が経営するこじんまりとした喫茶店だ。

あまり流行っておらず、
静かに流れるジャズが聞こえる程度に落ち着いた店内。
(大学のそばにあるならば
騒がしい学生であふれかえっていても
おかしくないはずだが、
まあ、そこはご都合主義というものだ)

内装も凝っているものの、居心地のよい雰囲気に整えられている。
常連にはその「隠れ家感」が愛されているのだ。

「行きつけ」というからにはきっと、
少なくとも週3、4回は通うことになるだろう。

そうすると必然的に「マスター」とは顔なじみにならざるを得ない。
マスターはちょっと年上のきれいなおねえさんで、
私が来るたびに
あらあいらっしゃい
と迎えてくれ、
今日は冷えるからホットココアでもどうお? 
と勧めてくれたりするのである。

おねえさんじゃなかったら、オシャレなおじさんかもしれない。
おじさんは五十ちょっと手前くらい、
ビートルズとマンチェスターユナイテッドを愛する元ポパイボーイ。
(ポパイボーイの使い方があっているのかは、びみょい)
ヒゲの生えた顔で、
おっお前またきたのかよ
とにやっとする。

私は澄まして、
マスター、「いつもの」ね!
と常連らしく注文するのだ。

それにしても週3、4回も通ってどうするのかって?
いやいや、文学少女(自称)をなめてはならない。

ミルクティーを飲みながら
好きなファンタジーを抱えて読書に耽るのも最高の一日。
それに、私は文学部の学生(に、なるはず)。
片っ端から日本の、いや世界の文学全集を読破しなきゃいけない。
その上きっとレポートやら課題やら語学の勉強やら、
いくらだって勉強すべきものはあるはずだ。

毎日勉強をしている私を見ておねえさんは、
「いつも、大変ね❤」
と、クッキーでも持ってきてくれるかもしれない。
(おじさんだったら
「若いんだからたまには活動的なことでもしてこいよな」
とからかってくることだろう。)

もちろん、そこを行きつけにしているのはわたしだけではない。
近くに住んでいるシブいおじさま方はもちろんのこと、
物静かな黒髪文学青年も通っているのである。
(あれ、学生は来ない設定じゃないの?
というツッコミは受け付けない)

彼はずり落ちてくる黒縁眼鏡をたまに直しながら、
ハヤカワ文庫を静かにめくる。
何度も見かけるうちに、
彼の持つ教科書から、なんと同じ学科だと判明。
そして、始まるロマンス。

「あの、いつも来てますよね、ここ」

きゃー!!!

といったかんじで、
半分くらいはなんか違う欲望を織り交ぜつつ、
私の「行きつけの喫茶店」幻想は夢はるかに広がっていったのであった。

第2回