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第1回新卒。22歳。和食器が一番好き。 2017-11-07-Tue
第2回新卒。22歳。和食器が一番好き。 2017-11-07-Tue

ほぼ日の塾4期生のゴマちゃんです。ニックネームは、昔飼ってたセキセインコの名前です。ほっぺにゴマみたいな模様があったからゴマちゃん。
好きなものを聞かれると、「和食器」「料理」「食べること」の三拍子を答えます。食べている時が一番幸せです。よろしくお願いします。

私の好きなもの

私の好きなもの

担当・ゴマちゃん

「一番好き」って感情が怖かった私。
でも、6年前に出会った「和食器」が一番好きと今は言える。
窯元を訪ねる0泊3日の旅、夜行バスで全国の窯元を行脚、和食器のために転職…
なんで、こんなに私ははまっているんだろう?

第1回 新卒。22歳。和食器が一番好き。

22歳の冬。和食器にはまった。
それまで、「はまる」という感情を避け気味だった。
理由はシンプル。
はまると、それしか見えなくなるから。
そんな自分が怖いから。

人生で初めてゲームボーイを手に入れた時、
39度の熱が出るまでポケモンをやり続けた。

人生で初めて漫画にはまった時、
高校の授業中でも「HUNTER×HUNTER」を読み続けた。

とにかく、一つのことにはまるとそれしか見えなくなる。
だから、意図的に「はまる」感情から距離を置き始めていた。
でも、22歳のときに和食器にはまった。
そんな私と和食器のおはなしです。

和食器との出会い

それは、新卒で入った会社。
訳あって配属になった「商品開発部」で任された仕事はバイヤー。
初心者のバイヤーには、
在庫の動きなどの変化が少ない商品が任された。
その一つに和食器があった。

和食器なんて、その日まで意識して生活したこともなかった。
母親が食器好きで、色々買っていたな…くらいの記憶。

でも、バイヤーに求められるのは商品知識。
そんなわけで、情報収集の日々が始まった。
和食器って何なのか、
どうやって作られているのか、
どんな人が使っているのか…
わからないことしか無い世界。

でも、調べれば調べるほど、
「今の日本があるのは、和食器のおかげ?」
と大げさに聞こえるかもしれないが、本気で思い始めてしまった。

料理ごとに色々な形の器があること。

昔は偉い人しか使えなかった和食器を、
庶民も使えるように尽力した人がいたこと。

海外に輸出していたことで、
ヨーロッパに日本文化が持ち込まれたこと…

みんなはもう知ってることなのかもしれないけど、
私にとっては最新情報で、和食器の存在を見直した瞬間だった。
こんなスゴイものが、そこら中のお店で普通に売られているなんて!
なんてこった!!
と衝撃が走った。
そして、作っている人たちに会いに行く旅をはじめた。

窯元を訪ねる。夜行バスで。

「作っている人に会いたい」という思いは加速し、
職人さんに会いに行くようになった。
しかし、全国を飛び回りたくてもお金がない。
新卒の月収なんてたかが知れている。
それに、交通費や宿代にお金を使うなら、器を買いたい。
そこで思い立ったのが「夜行バス」で窯元を巡る旅。

北は青森県まで「津軽金山焼」を求めて。
上野駅から出発する「パンダ号」に揺られること11時間。

金曜日の夜、上野駅を出発
⇒土曜日の朝、青森県に到着
⇒土曜日の夜、青森県を出発
⇒日曜日の朝、上野駅に到着

こうすれば、宿も予約しなくてOK。

南は福岡県まで「小石原焼」を求めて。
新宿駅から出発すること15時間。

西は福井県まで「越前焼」を求めて。
東京駅から出発すること10時間。

こんな旅をすること、訪ねた焼き物の産地は20を超えた。
先々で手に入れた器を使う時、職人さんの顔が浮かび、
一人で食べるごはんも不思議と一人で食べていない気分になった。

和食器との距離を縮めていった私に、
ある日突然、残酷な現実が突きつけられた。

第2回 新卒。22歳。和食器が一番好き。