もくじ
第1回17歳のスターバックス 2017-11-07-Tue
第2回27歳のスターバックス 2017-11-07-Tue
第3回30歳のスターバックス 2017-11-07-Tue

東京の下町で楽しく暮らしています。カントリーマアムと本屋が好きです。

私の好きなもの</br>スターバックス

私の好きなもの
スターバックス

担当・べっくや ちひろ

今まで、何度スターバックスに行ったかわかりません。

コーヒーにつぎ込んだお金で車が買えそうだし、
これまでに飲んだドリンクのカップを繋げたら
地球一周くらいはできそうな気がします。
(それはやっぱり、言い過ぎかもしれませんが)

スターバックスのコーヒーが
他のカフェと比べて段違いでおいしいのか、と聞かれたら
たぶんそんなことはありません。

ただ、スターバックスの思い出と
切っても切れない友人がいるので、
スターバックスは、ちょっと特別なんです。
なんてことない、ささやかな思い出です。


温かいカフェラテを飲みながら書きました。
コーヒーブレイクの読み物に、どうぞ。

第1回 17歳のスターバックス

ロンドンに住む友人Yから、久しぶりに連絡があった。
年末年始に、一時帰国するかもしれないという。

Yについて考えるとき、
そこにはいつもスターバックスの思い出がついてくる。
白い紙カップで手を温めながら、二人で歩いた真冬の通学路。
もったりと甘いカフェモカの味。半分こで食べたドーナツ。
私たちは17歳だった。
 
 
Yは高校の同級生で、
同じチアダンス部のチームメイトだった。
部活を引退した高校3年生の夏から
私たちは同じ予備校に通うことになり、
それをきっかけに、よく一緒にいるようになった。

Yはスターバックスが好きだった。
ある日の学校帰り、予備校に向かう途中で
「スタバ寄っていこうよ」と誘われて、
通学路の途中にあるスターバックスに
初めて2人で一緒に行った。

そこでちょっとした秘密を打ち明けあったのをきっかけに、
私たちは、ものすごく仲良くなった。
 
 
それからは、数え切れないくらいスターバックスに行った。

すっかり日が落ちた冬の帰り道、
煌々と明かりが灯るスターバックスに吸い寄せられるように
ふらっと立ち寄ることもあったし、
予備校を抜け出し、自転車に2人乗りで向かうこともあった。

Yはいつも、温かいチャイティーラテを飲んで、
私はいつも、カフェモカを飲んだ。
ときどき、ケーキやドーナツをひとつ買って、半分こにして食べた。
Yは、自分のお金で買ったドーナツでも、
「これおいしいから、食べてみて」と、必ず半分を私にくれた。
 
 
私たちは、紙カップで手を温めながら、
いつもいろんな話をした。
学校でも家でも予備校でも話せないことを話すのが
スターバックスだった。

「スタバ、行かない?」というのは
「もう少し話してから帰ろうよ」という意味だし、
「ちょっと相談したいことがある」という意味でもあった。

Yは私にしか話せないことがあり、
私もYにしか話せないことがあった。

第2回 27歳のスターバックス