元々私は、数学も会計も苦手でした。
財務諸表と聞いてもなんなのかピンと来ず、
学生の頃単位を落とした会計の授業の本を引っ張ってきて、
「財務諸表にはPL、CF、BSがある」
という呪文のようなメモに途方にくれたりしました。
そんな私をみかねたベテラン先輩社員が、
面白い財務諸表を教えてくれたのがことの始まりです。
自分のロッカーに「利益」と書いた書き初めを貼っている、
自他共に認める、財務大好き「財務オタク」の先輩です。
「財務諸表は企業によって全然違う。
それは、企業の活動次第で財務諸表は変わっていくからだ。
何に投資をする?どこから資金を集める?
その一つ一つの意思決定の結晶が、財務諸表となる。
そしてまたその財務諸表を元に、意思決定をする。
企業の活動と表裏一体の存在が、財務諸表なんだ。」
そう少年のような顔で話す、ベテランの先輩。
私はハア。と曖昧に笑うしかできませんでした。
「そもそも財務諸表は3種類ある。
1つ目はPL(損益計算書)。
一定期間の売上とコストを表すお小遣い帳のようなもの。」
「これは一番イメージしやすいと思う。
自分の家計簿もこの形でつくれば、
今月いくら余る予定かが分かる」

「2つ目はBS(貸借対照表)。
右側にはどこからお金を集めてきているか?
左側にはそのお金を何に変えている(投資している)か?
が載っている。」

「例えば、航空会社のBSを見てみよう。
左の固定資産の欄に、巨額の“航空機”という資産が載っている。
同じ欄でも、例えば牧場なら“牛”となったりする。
自分で稼いだり、借りたり、投資してもらったお金を、
“航空機”や“牛”に投資しているんだね。」
おかたい形式の財務諸表に「牛」と書いてある様子を
思い浮かべると、ちょっと親近感が湧いてきます。
「牛で思い出したけど、固定資産の“減価償却”は分かる?
例えば飛行機も、
使えば使うほどだんだん古くなって価値が落ちるとしよう。
それなのに資産の金額はそのままだと、
正しく資産の状況がわからない。
だからだんだん年を経ることに金額を減らしていくんだ。」
「何年で価値を償却するかは国が細かく定めている。
例えば同じ馬でも、
競争馬とものを運んでもらうための馬では年数が違う。
競走馬のほうが引退が早いのか、2年間償却。
運搬の馬は4年だ。
じゃあ乳牛や肉牛は?これは固定資産ではなく流動資産。
“商品”の欄に入ることになる。」

この償却年数は国税庁のHPに記載されているのですが、
同じ果樹でもまた細かく設定されています。
例えば桃の木は5年。柿の木は10年。
桃栗3年柿8年という、
実を結ぶまでの期間を表すことわざがありますが、
あれが事実ならその2年で償却しきるということですね。
※財務諸表にはもうひとつCF(キャッシュフロー計算書)
という種類もありますが、今日は使いません
(続きます)
