もくじ
第1回牧場の財務諸表を見てみよう 2017-12-05-Tue
第2回投資家じゃなくても財務諸表は面白い 2017-12-05-Tue

エクセルが武器な会社員3年目。
インテリアで家の居心地をよくすることと、仕事帰りに銭湯にいくことが好きです。
銭湯では足りずレンタカーで温泉まで走って行くこともあります。
最近黙々と山に登ることにもハマり始めました。

「財務諸表」は好きですか?

「財務諸表」は好きですか?

担当・安藤菜々子

突然ですが、「財務諸表」は好きですか。
企業の活動を数字で報告するのが財務諸表。
上場している企業のものは必ず公開されています。

財務諸表って、面白いんです。
ルールは細かくあるのに、一つとして同じものはありません。
その企業の個性が全面に出るのが財務諸表です。


好きも何もよく知らない。なんだかお堅い感じ。
投資家や経理が見る専門的なもの。自分には関係ない…。

私は2年前会計の部署に異動になった際に、
そんな風に戸惑っていました。
でも今や財務諸表の面白さを伝えたくって、
こうして記事を書いています。

面白いだけではありません。
企業の会計に関わる人だけでなく、絶対に個人にも役に立つ。
学べば学ぶほど、そう思うようになってきました。

今回は難しい話はやめにして、
特に面白い部分をお伝えします。

第1回 牧場の財務諸表を見てみよう

元々私は、数学も会計も苦手でした。

財務諸表と聞いてもなんなのかピンと来ず、
学生の頃単位を落とした会計の授業の本を引っ張ってきて、
「財務諸表にはPL、CF、BSがある」
という呪文のようなメモに途方にくれたりしました。

そんな私をみかねたベテラン先輩社員が、
面白い財務諸表を教えてくれたのがことの始まりです。
自分のロッカーに「利益」と書いた書き初めを貼っている、
自他共に認める、財務大好き「財務オタク」の先輩です。

「財務諸表は企業によって全然違う。
それは、企業の活動次第で財務諸表は変わっていくからだ。
何に投資をする?どこから資金を集める?
その一つ一つの意思決定の結晶が、財務諸表となる。

そしてまたその財務諸表を元に、意思決定をする。
企業の活動と表裏一体の存在が、財務諸表なんだ。」

そう少年のような顔で話す、ベテランの先輩。
私はハア。と曖昧に笑うしかできませんでした。

「そもそも財務諸表は3種類ある。
1つ目はPL(損益計算書)。
一定期間の売上とコストを表すお小遣い帳のようなもの。」

「これは一番イメージしやすいと思う。
自分の家計簿もこの形でつくれば、
今月いくら余る予定かが分かる」

「2つ目はBS(貸借対照表)。
右側にはどこからお金を集めてきているか?
左側にはそのお金を何に変えている(投資している)か?
が載っている。」

「例えば、航空会社のBSを見てみよう。
左の固定資産の欄に、巨額の“航空機”という資産が載っている。
同じ欄でも、例えば牧場なら“牛”となったりする。

自分で稼いだり、借りたり、投資してもらったお金を、
“航空機”や“牛”に投資しているんだね。」

おかたい形式の財務諸表に「牛」と書いてある様子を
思い浮かべると、ちょっと親近感が湧いてきます。

「牛で思い出したけど、固定資産の“減価償却”は分かる?
例えば飛行機も、
使えば使うほどだんだん古くなって価値が落ちるとしよう。
それなのに資産の金額はそのままだと、
正しく資産の状況がわからない。
だからだんだん年を経ることに金額を減らしていくんだ。」

「何年で価値を償却するかは国が細かく定めている。
例えば同じ馬でも、
競争馬とものを運んでもらうための馬では年数が違う。
競走馬のほうが引退が早いのか、2年間償却。
運搬の馬は4年だ。
じゃあ乳牛や肉牛は?これは固定資産ではなく流動資産。
“商品”の欄に入ることになる。」

この償却年数は国税庁のHPに記載されているのですが、
同じ果樹でもまた細かく設定されています。
例えば桃の木は5年。柿の木は10年。

桃栗3年柿8年という、
実を結ぶまでの期間を表すことわざがありますが、
あれが事実ならその2年で償却しきるということですね。

※財務諸表にはもうひとつCF(キャッシュフロー計算書)
という種類もありますが、今日は使いません

(続きます)

第2回 投資家じゃなくても財務諸表は面白い