もくじ
第1回どこかで見たことのある風景。 2017-12-05-Tue
第2回一人一人を大切に描く。 2017-12-05-Tue
第3回たたずまい。 2017-12-05-Tue
第4回楽しいときも、つらいときも。 2017-12-05-Tue
第5回カオリさんのワークショップ 2017-12-05-Tue

編集者。普段は紙の雑誌をつくっていますがWebコンテンツ勉強中です!

フィギュア作家・タカハシカオリさんの世界</br>アニマルで描くヒューマン

フィギュア作家・タカハシカオリさんの世界
アニマルで描くヒューマン

担当・上條

タカハシカオリさんは、フィギュア作家。
彼女がつくるキャラクターたちは、
顔は動物・体は人間という不思議な出で立ちですが、
とても人間臭くて、おかしくて、
どこかで会ったことがあるような、愛すべき人(動物)たちです。
私が初めてカオリさんに会ったとき、
カオリさんは、まるで自分の友だちの話をするみたいに、
「ウシのミゾグチ」や「カエルのツグジ」の話をしてくれました。
そのお話をもっと聞きたくなって、
今回「ほぼ日の塾」の課題として、インタビューをさせていただきました。
また、カオリさんのワークショップにもお邪魔しています!
全5回です。
カオリさんと、その「トモダチ」の世界を、どうぞお楽しみください。

プロフィール
タカハシカオリさんさんのプロフィール

第1回 どこかで見たことのある風景。

― 
今日は、よろしくお願いします。
タカハシカオリさん(以下、カオリ)
よろしくお願いします。
大阪の展示に来てくださったんですよね。
― 
はい。
住んでるのは東京なんですけど、あの日は出張で大阪に行って。
帰り際に本屋さんに立ち寄ったら、
そこでカオリさんの展示をやってたんです。
わあ、おもしろいなあと思って作品を見てたら、
実は後ろにカオリさんご本人がいたんですよね。
それでちょっとお話しして。
カオリ
ちょうどその日搬入だったので、
私も東京から出てきてたんです。
作品を見てくれてるから話しかけたんですけど、
まさか東京から来てる人とは思いませんでした(笑)。
― 
私も、お話しして、びっくりしました。
しかも、私は東京の阿佐ヶ谷に住んでるんですけど、
カオリさんのご実家も阿佐ヶ谷だったんですよね!
カオリ
そうなんです。
中学生までは隣の高円寺で、その後が阿佐ヶ谷。
だから、あのとき買っていただいた
この本(※カオリさんのZINE『ぼくのおとうさんのはなし』)
でも、高円寺とか阿佐ヶ谷で撮影したシーンは多いですね。

― 
確かに、見覚えがあるかも……。
カオリ
これは商店街ですね。これは母校の近く。

― 
この公園の写真、いいですよね。
カオリ
これは善福寺川公園で撮りました。

― 
天気も良くて、桜もきれいで、気持ちよさそう。
うまくできすぎてて、一瞬、合成写真かな?
って思っちゃったんですけど、
全部実際の場所に置いて撮影されてるんですよね。
カオリ
そうですね。撮ってる姿かなりアヤシイんで、
けっこう警察の方に職務質問とかされます(笑)。
― 
職務質問……!
カオリ
そう、職質(笑)。
私、撮影場所をきっちり決めていかないことが多いんですよ。
フィギュアを持ってうろうろ歩きまわって、
あ、ここがいいかなって思ったところで撮る。
しかも、私、フィギュアを工具箱に入れて持ち歩くので……。
― 
工具箱。
カオリ
工具箱持ってうろうろしてて、
交番の前2~3回通っちゃったんですよ。
そしたら「その箱、何が入ってるんですか?」
って聞かれて(笑)。
― 
まさか動物の顔したフィギュアが
入ってると思わないですもんね(笑)。
なんで工具箱に入れてるんですか?
カオリ
頑丈だからです(笑)。
― 
なるほど(笑)。
でも場所をきっちり決めてないっのって意外です。
どの写真もすごく緻密に計算してつくられてるように見えるから。
カオリ
決めていくときもありますけどね。
たとえば、ストーリーとして「学校」のシーンがあるときは、
ムサビ(※武蔵野美術大学。カオリさんの出身校)
に頼んで教室とかを借りることもありますし。
あと、七五三のシーンに出てきた神社。
あれは、私が子どもの頃に
実際に七五三をやった神社にお願いして撮らせてもらいました。
― 
わあー、そうなんですね!
どれも、場所の選び方が絶妙ですよね。
懐かしい感じというか。
カオリ
ありそうな感じですよね。
― 
私はたまたま阿佐ヶ谷に住んでるから
実際に「見たことある」場所もあるんですけど、
それだけじゃないと思います。
たぶん、多くの人にとって、
まったく同じ場所じゃなくても、
ああ、こういうの見たことあるなーって
共感できる風景なんだと思います。

― 
でも、どうしてフィギュアを屋外に持って行って
撮影するようになったんですか?
カオリ
スタジオとかで撮影するのもかっこいいと思うんですけど……
なんかこう、
私たちの生活になじむようなものにしたいというか。
― 
生活になじむ。
カオリ
この子たちって、モノは小さいんですよね。
だいたい13cmくらい。
でも、そんな小さいモノでも、
ちゃんとそこに存在させたい、という気持ちがあって。
― 
ああ。
カオリ
本当にそこに立っているような感じというか、
実際の風景と混ざりあって、
空気になじむようにしたいと思ってます。

(つづきます)

第2回 一人一人を大切に描く。