もくじ
第1回手仕事好きな母、箱をつくる 2017-12-05-Tue
第2回箱をつくりはじめた理由 2017-12-05-Tue
第3回なんでも知りたい、つくりたい 2017-12-05-Tue

とや さとる・1989年生まれのデザイナー。テレビ、音楽、インターネットが好きです。

なんでも知りたい、つくりたい。</br>手仕事好きの母。

なんでも知りたい、つくりたい。
手仕事好きの母。

担当・戸谷 慧

私の母は、手仕事が好きです。

私が小さいときの服は、母の手づくりでしたし、
実家の食器は母が陶芸で作ったものがほとんど。
実家を出た今では、育てた野菜が送られてきたりもします。

そんな母がある日から、Facebookに、
手づくりの箱の写真を投稿するようになりました。

はじめはそれほど気にしていなかったのですが、
月に1度くらいのペースで作られ、
投稿される箱のことが、
徐々に気になっていきました。

そこで、先日、帰省した際に、
箱づくりについて、たずねてみました。

話は、箱づくりのきっかけから、
手仕事に対する母の想いへ。
還暦をすぎても、新しいことに挑戦し、
人生をめいっぱい楽しもうとする、
好奇心に満ちた、素敵な大人の話を
聞くことができました。

全3回で、お届けします。

第1回 手仕事好きな母、箱をつくる

母は、私が小さいときから、
手仕事が好きなひとでした。

私が幼少期に着ていた服は、母の手作りでした。
ミシンで縫ったズボンから、手編みのセーターまで。
洋裁や手芸はひと通り出来ますし、本人も、
見たらだいたいのものは作れる、と言っています。

布と糸で絵を描く、ファブリックピクチャーを
やっていたこともありました。
子育てで忙しかったため、
憧れの作家の本を読み、独学で作っていたそうです。

陶芸教室に通っていた時期もありました。
通算で10年以上通っていて、
家で使っている食器は、ほとんど母の作品です。

最近では、家庭菜園やガーデニングにも凝っています。
となり近所の農家にアドバイスをもらったり、
ガーデニング情報のブログを見たりして、
日々、野菜や花を育てているようです。
私が実家を離れた今では、
野菜が送られてくるようになりました。

野菜は、そのへんのスーパーで買うよりも美味しいですし、
小学生のときに、母が作ってくれた袋を使っていたのも
少し誇らしかったように記憶しています。

そんな母の近況は、
だいたいFacebookで知ります。
ある日の投稿で、
母が箱の写真を載せているのを見つけました。
可愛らしいレースの柄が入った生地で作られた箱です。

はじめは、その投稿を見ても
また何か作ったのかな、くらいに思って、
あまり気に留めていませんでした。

しかし、それから月に1度くらいのペースで
おしゃれな箱の写真が投稿されるようになり、
徐々にこの箱のことが気になってきました。

洋裁や陶芸や野菜と違って、
箱を作るのが趣味、というひとを、
私はあまり知りません。

なんで急に、箱づくりをはじめたのだろう。
こんなにたくさん箱を作ってどうするんだろう。
写真のキャプションには、
「今日のワークショップ♫」と、
書いてあるくらいで、
ほとんどヒントはありませんでした。

そこで私は、思い切って
箱づくりについて、
母に聞いてみることにしました。
思えば、母の趣味について、
深く話を聞くのは、はじめてのことでした。

(つづきます)

第2回 箱をつくりはじめた理由