もくじ
第1回私と母は、すごく近いけれど、全然違う。 2017-12-05-Tue
第2回1つの大きな心残り。 2017-12-05-Tue
第3回母に正面から聞いてみよう。 2017-12-05-Tue
第4回3年ぶりに、いざ、花嫁の手紙を書く。 2017-12-05-Tue

新卒入社した会社で営業配属となってから、気が付けばもう1●年。畑違いからですが、ものをかくことに憧れて、30代にしてはじめて、たのもー!と夢の扉を叩いてみました。

3年ぶりに書く、「花嫁の手紙」。

3年ぶりに書く、「花嫁の手紙」。

担当・ながの。

私と母の繋がりは、とても濃い。
幼少期に離婚して、シングルマザーで親一人子一人、
ずっと育ててくれた母。
すごく尊敬しているけれど、どこかで、
私とはすごく違う人だとも思ってきた母。
私たち親子はとにかくたくさん喧嘩をして、
数えきれないほど、ぶつかることがありました。
母は、誰よりも尊敬する人です。
そして、何度感謝を伝えても、伝えきれない人。
普段はなかなか恥ずかしくて伝えられないけれど
ちゃんと伝えたい。
そんな想いを、伝えるのに、絶好な場がありました。
それは、結婚式にある、『花嫁の手紙』。
でも、20代の私は、そこでもうまく伝えられなかった
気がします。
ほぼ日の塾をきっかけに、もう一度正面から見るように
なった家族の姿。
改めて、花嫁の手紙を書いてみます。
全4回、お付合い頂けますと幸いです。

第1回 私と母は、すごく近いけれど、全然違う。

私は、名古屋の下町で、生まれ、育ちました。
両親は、私が物心つく頃に離婚し、一人っ子の私は、
母と二人で暮らすようになります。

親子の関係とは、とても不思議だなと思います。
それぞれの形があって、それぞれの歴史が存在する。

最初に考えるきっかけとなったのは、小学校1年生。
学校の授業でした。
図工だったかな。家庭科だったかな。
とにかく、覚えているのは、割りばしと画用紙を渡され、
「あなたの家族構成で、指人形をつくりましょう」
という授業があったこと。
下町で、まだまだ核家族が少なかった私の育った町。
私は、「母子家庭」で「一人っ子」という、
私の町では珍しいポイント2つをゲットし、
作る指人形は、「母」と「私」の2つだけ。

「せんせえ、おわりましたっ!」
意気揚々と宣言して、一息ついて、周りを見渡すと、
誰も終わっていませんでした。
その時、初めて、むむむ?と思いました。

家族は4人だったり、8人だったり。
お兄ちゃんがいたり、赤ちゃんの妹がいたり。
家族!って聞いて、母をポワンと浮かべる以外に、
その教室の人の数だけ、ポワワンと浮かべる家族がある。
そんなことを知りました。

母一人、子一人、
途中でおじいちゃんと一緒に住んだり、
亡くなったりもあったけれど、
30年以上を母と一緒に過ごす中で、
母と私は、色々なことが違う、と思うようになりました。

例えば、見た目。
母は、ちんまりしています。
背は150センチそこそこしかないし、足のサイズも22センチ。
本当は21.5センチだけれど、子供靴になってしまうので、
大きめサイズのスニーカーで、紐をぎゅっと締めて履く。
一方で、私はでかい。
背は小学校4年生の時には母を抜き、母より10センチ以上、
大きくなったし、足に至っては普通に履けば25センチ。
でも、何だかわからない見栄で、むりやり24.5センチの
ハイヒールに足を詰め込んでいる。

例えば、キャリア。
母は、20代で結婚、出産、独立、倒産と一通りを経験後、
たくさん転職して、たくさんの仕事を経験しています。
転職ごとに新しいチャレンジを自分に課して、
ある時は、アメリカで小学校の先生、
ある時は、住宅雑誌の編集者、
メガバンクの外国為替担当などなどを経て、
簿記を取得し50代にして、初めての経理も経験しました。
一方で、私は新卒で入った会社で、ずっと過ごし、
10年以上が過ぎる中で、少しだけ役職も経験しましたが、
この一社しか知らない。
20代最後の一週間で、結婚して、
30代に入った今も出産はまだ経験していません。

違うことが多いからか、私たちは、
傍目には、親子喧嘩が多いようです。
「多いよう」というのは、夫と話していて、
彼はほとんど親子で喧嘩をしたことがないそうで、
私たち親子がいとも簡単に喧嘩をすることに
びっくりしたと聞いて、初めて認識したからです。

・・・言われてみると、確かにすごく喧嘩している。
人生の岐路となる選択では、大抵、5ラウンドは、
喧嘩しています。
反対される時も(そんなに反対はないけれど)、
されない時も、必ず喧嘩になっている気がします。

私にとって母は、絶対的な話し相手だったし
交換日記までしていた時期もあり、
誰よりも近しい存在でした。

とても近い理解者のはずなのに、喧嘩は絶えない。
そのたびに、ぶつかってしまう。

感謝もしているのに、嫌な自分ばかり母には
見せてしまう自分に、毎度モヤモヤするのです。

(つづきます)

第2回 1つの大きな心残り。