〈プロフィール〉
花輪えみ (20代・女性)
恋愛コラム執筆歴3年目のライター。執筆開始時に抱いた「恋愛とは?」という疑問に対して
未回答のままでいる状況に、一抹の不安を感じている。
- ——
-
ぼちぼち始めていきましょうか。
今回、三人の方にお話を聞いてどうでしたか。
花輪さんご自身の考えはまとまりましたか。
- 花輪
-
いや、それがですね。
皆さん、相手が私だからか良い意味で気を使わず
言いたい放題、思い思い語っていただいたので、
バシッと答えが出たわけではないんですよ。
明確な「1つの答え」みたいなものには、
残念ながら辿り着けませんでした。
- ——
- 「1つの……」と言いますと?
- 花輪
-
たとえばAさん、彼女はプラスα的な存在として、
安定剤の役割を持つものとして「恋愛」を置いています。
一方、終女さんは自然発生的な「恋心」同士の
関わりこそ「恋愛」であると捉えていました。
Bさんに至っては、もっと野性的な相性を
大事にしている感じでしたけれども。
- ——
- ああ、たしかにそれぞれ違って聞こえます。
- 花輪
-
ですよね。
だから結果として、おそらく「恋愛」には
正解がないんだろうな、っていう答えが出ました。
- ——
-
非常に言いにくいのですが、至極あたり前のことに聞こえます。
お三方に話をうかがった意義はありましたか。
- 花輪
-
意義の大収穫ですよ。
だって「正解」がないからこそ、
恋愛について考える余地があるんじゃないですか。
あらゆる人が恋愛について考えを述べられて、
それが「正しい!」「正しくない!」の議論ができる。
これが、恋愛の姿だということがわかりました。
Webや雑誌には多くのコラムが存在していますが、
情報の取捨選択は、自由ですからね。
読んでくださる方ひとりひとりの自由。
私のような頭でっかち恋愛下手ライターが書く記事を
読んでくださる方もいれば、
ナンパされ続けてウン十年の熟練ライターの記事を
読みたいと思う方もいる。
これは「恋愛」のイメージが様々だからこそ、
できるスタイルなんです。
医療や税金のシステムのように正解がないからこそ、
みんなが思い思いに考えて、文章にできる。
これでいいのだ、と思いましたね。
筆者が「恋愛」を理解したく集めた書籍
- ——
- なるほど。だから、花輪さんが恋愛を語れると。
- 花輪
-
そうですね。
ぶっちゃけ、書いていて自信がなかったんですよ。
「モテすぎちゃって困っちゃう☆」経験もない、
「彼氏いないと死んじゃう〜」状態でもない。
むしろ、恋愛からは遠い存在かもしれない私が
ライターとして存在していいのか、と悩んでいました。
「恋愛」ジャンルには、ライターが星の数ほどいますので。
花輪という名前で仕事を取っているわけではない、
私に書けることは誰でも書けるのでは、ということが
コンプレックスでもありました。
でも、そうじゃないんです。
むしろ誰にだって書けてしまうからこそ
「恋愛」ジャンルは魅力的なんです。
私にしか書けない「恋愛」があるわけですから。
恋愛から距離のある、
朴念仁の私だけの「恋愛観」が伝わる文章を
追求していきたいと心から思いますね。
- ——
-
では、そんな花輪さんにあえてお尋ねします。
「恋愛」とは、なんだと思いますか。
- 花輪
-
今回、三人のお話を聞いて、
もっとも答えに近いように感じたのは、
その人が幸せだと思う、他人との距離の在り方。
精神安定剤にせよ、感情の関わり合いにせよ、
相手との距離がそれらの感情を形成している。
私はそう感じました。
ゼロ距離でベッタリとくっ付いていたい方、
お互いにパーソナルスペースを保ちたい方、
それぞれいらっしゃると思います。
相手とその価値観を合わせるのもよし、
最初から合致する人を探すのもよし。
とにかく一緒にいて「心地よい距離」を保てる
手段や相手を探すことが「恋愛」じゃないかな、と。
- ——
-
わかりました。
大切な欠片を掴めたようで、よかったですね。
ありがとうございました。
- 花輪
- こちらこそ、ありがとうございました。
(注:今回の対話はフィクションです)
(おわりです)
