例えば、ふりかけ。
スーパーの、ふりかけが並ぶ陳列棚の前に、わたしはじっと立っていた。
少し悩んで、最終的に「のりたま」の大袋を買い物かごに入れた。
少し前は、ドレッシングだった。
いろんな種類のドレッシングが並ぶ陳列棚は、
見ているだけで心がわくわくしてくる。
「どれもいいな、どうしようかな」と思う。
その日は結局、よく買う玉ねぎのドレッシングに決めた。
*
わたしは、「選ぶこと」がすきだ。
スーパーに並んだふりかけやドレッシングみたいに、
悩んでひとつを選びとるのも楽しいけれど、
毎回決まったものを選んでしまうくせも楽しい。
自動販売機のセブンティーンアイスで買うのは、いつもチョコミント。
ケーキだったらモンブランか、栗がのっているものを選んでしまう。
種類や決め方、時間は問題ではなくて、
納得感を持って選ぶという
作業そのものがすきなんだと思う。
選ぶことは、必ずしも自分ひとりである必要もなくて、
誰かと一緒のこともある。
誰かと一緒に選ぶと、思いもよらぬ方向にものごとが進んで楽しい。
わたしは服を選ぶのが苦手なわたしは、
妹に似合う服を見つけてもらった。
友達の「ご飯なに食べたい?」に「なんでもいいよ」と答えて
初めて行ったタイ料理屋さんはおいしかった。
一人でも誰かと一緒でも、モノ選びがすきなのは
いともカンタンにご機嫌になれるからかもしれない。
そのときの感覚にしっくりくる選び方ができると、
なんだかご機嫌になれるのだ。
その結果、ちょっぴり強い自分になれる。
「何もうまくいく気がしない……」となんだか気分が落ち込む日でも、
自分で選んだお菓子や、自分で選んだアクセサリーは、
ちっぽけでも日常生活をやり過ごせるくらいの元気を注いでくれる。
最近自炊できてなくて野菜不足だから、野菜が多いメニューを選ぶ。
好きな人が「すきだ」と言っていたから、そのお菓子を選ぶ。
誰かに見せる予定はないけれど、今日の気分や予定で下着を選ぶ。
どんなモノでも決め方でも、納得感を持ってなにかを選べることは
自分を幸せにするし、強くもする。
考えてみれば、それはモノに限った話ではない気がする。
ランチの注文で真剣に悩んで、友達を待たせたときみたいに、
今日明日や人生の「これしたい」「あれしたい」にもっと悩んだり、
貪欲になってもいいのかもしれない。
