先ほどさらっと書きましたが、
「気持ちにホコリが付く感覚」って、ありますか?
わたしは結構あるんです。
あ、ホコリは「ああ言えばよかったかな」とか
「こうすべきだったな」とか、気持ちにふっと浮かぶ
いじいじした言葉の比喩です。
一つ一つはほんと些細なものなのに、
いつの間にか降り積もって
自分の気持ちが見えにくくなっちゃう。
他人の反応ばかり優先して、
自分の気持ちを後回しにしちゃう時、
こう思うんです。
「なんか気持ちが曇ってきたな」
そう気づいたら、わたしは風に吹かれます。
なにも考えず、草花のように。心ゆくまで。
すると、体の中から発光しているような明るさを
感じるのです。
蛍が一匹いるくらいの小さな光なんですけどね。
何か励ましの言葉をもらったように、
確実に元気になっている。
「そうだ、わたしがどう思うか、それが何より大事!」
と勇気付けられている。
風に吹かれている間、実は、
風と会話をしているのかもしれません。
実際、わたしの髪や服は返事をするようにゆれています。
好きと気づくのはいつだって
ふとした瞬間なんじゃないかと思います。
2年前、日帰り温泉施設の帰り道に自覚してしまいました。
ああ、わたし、風が好きだ。
温泉施設の中にあるホットヨガ教室に通ったら、
会員は温泉も利用できたんです。
せっかくだからと内湯を満喫した後、
涼しさが欲しくなって外の岩湯へ。
熱々のお湯の中で、のぼせるそばから
頭と肩が冷やされていく。
裸で感じる風って、全身で感じる風って、
なんて気持ちいいんだろう・・・
しみじみとした驚きが忘れられなくて、
翌日はヨガもせずに温泉へ。
かけ湯をしたら外へと直行です。
ただただぼーっとする、何も考えない。
風に当たるだけ。無心。
ふんわりと心地よい。ゆらゆらと安らげる。
それからというもの、
仕事帰りや休日に時間を見つけては通いました。
無心になっているところに風が吹くと、
頭の中まで風が抜けて、言葉がそよぐ。
余計な言葉が吹き飛ばされるのか、なんだか頭はすっきり。
風に木の葉がゆれるように、言の葉もきっとゆれるのです。
(つづきます)
