わたしの好きなもの「空」
担当・菊池百合子
「わたしの好きなもの」
そう言われてもピンと来ていなかったわたしが
毎日をあらためて見つめ直したら、
そこにはいつだって「空」がありました。
自分の手の中に持っておきたいのに、
指のすきまからこぼれ落ちていきそうな、大切なもの。
そういうものたちを、いつも思い出させてくれる。
わたしにとって、そういう存在です。
いったん立ち止まって、空を見上げてみる。
自分の気持ちに集中して整えることもあれば、
顔が浮かんできた誰かに、思いを馳せることも。
いつだって共通しているのは、どうやらわたし、
空に向かって言葉をつづっているようなのです。
まっさらになりたくてぼーっとしているときも、
気づいたらほんの少しの言葉がわきあがってきて。
何かをたぐりよせながら、思う存分、
言葉を出したり引っ込んだり。
特に、言葉を直接届けにくい誰かに向けて。
または、口に出して言いにくい何かについて。
だから、いつも空に向かって
言葉を解き放っているように、
5人の「あなた」に宛てて手紙を書いてみました。
書いてみて初めて、今まであまり考えなかった
「空を見上げることが好き」な理由に
近づいたような気がします。
あなたの心に引っかかった回を、
好きなように読んでいただけたらうれしいです。