もくじ
第1回きっかけ 2019-03-19-Tue
第2回横綱と露出狂 2019-03-19-Tue
第3回こじらせてない人、こじらせた人 2019-03-19-Tue
第4回めんどくせえやつら 2019-03-19-Tue
第5回本当は傷ついてた? 2019-03-19-Tue
第6回世間の判断基準 2019-03-19-Tue
第7回自分という存在の押し付け 2019-03-19-Tue
第8回さいごに 2019-03-19-Tue

大学4年生で春から社会人。ライターをするのは初めてです。好きなものはお米。

「女の子」ってなんだろう。

担当・トミカ

「女の子」は可愛い。
サラサラの髪に、細いうなじ。
笑ったり泣いたり、感情の変化は忙しい。
すれ違うといい匂いがして、柔らかい。
……気がする。

私はどうだろう。
体も心も女性だと思う。
しかし「女の子」かと聞かれた時、
途端に自信がなくなってしまう。

可愛いばかりが女の子ではないという人もいるだろう。
女の子らしくしろいう時代は終わったから
自由に生きていいんだよと
力強く背中を押してくれる人もいるだろう。
けれど、素直にこれでいいと思えない自分がいるのだ。

ジェンダー論は、わからない。
誰かの代弁なんてできないし、
女とはこうだとはっきりいうつもりもない。

けれど、私は私として、
この気持ちに向き合いたくなって
友だち2人に付き合ってもらいました。

全8回と長いですが、
最後までお付き合いいただけると幸いです。

第1回 きっかけ

インタビューの1人目は高校の同級生のユキちゃん。
同じ部活、同じクラスで、話す機会の多かったユキちゃんは
折れそうなくらい細くて、まつげが長くて、
可愛い「女の子」です。
同時に聡明で大人びた考え方をする人だなと
思っていました。

だからまず、そんなユキちゃんと
「女の子」について考えてみました。

ユキ
インタビューの最初とかさ、
こんにちはとかから始まるの?
——
ううん。わかんない。
なんか、難しいね。
ユキ
トミカ、緊張してるの?(笑)
——
そうなのよ(笑)。
じゃあ、もういきなり聞くね。
ユキ
うん。
——
女の子って、何?
ユキ
すごい、テーマの核心を相手に委ねてきたね。
少しずつ聞くとかじゃないんだ(笑)。
——
乱暴すぎか(笑)。
ユキ
んー。トミカはどう思うの?
——
体も心も私は女だと思うんだけど、
「女の子」ってカテゴリーに入れられた時に
私ここでいいのかな?っていうか、
私って「女の子」なのかなって疑問が生まれるの。
だから、自分自身が
「女の子」に対する理想が高いのかな。
ユキ
トミカは私をどっちだと思ったの?
「女の子」って呼ばれて違和感がある人だと思ったのか、
そのまま受け入れる人だと思ったのか。
——
ユキは普通に受け入れるのかなって思ってた。
ユキ
なるほど。
トミカが女の子に違和感を抱きはじめたのはいつなの?
——
もともと「女の子」っていうくくりに
入らず生きてきたっていうか。
幼稚園の時も女の子遊びはあんまりしない子だったかな。
小学校に入ると、私はお調子者だったから
お前って女じゃないよなとか、
女捨ててるとか言われるようになって。
女じゃないから話しやすいとか
お前は女じゃないから一緒に遊んであげるみたいな。
昔から私は女じゃないっていうカテゴリーに
入れられてきたんだよね。
でも私も男の子と一緒に遊びたかったし
鬼ごっことかヒーローごっことか好きだったから
そのポジションいいなと思ってて。
自分からそういう方向に行こうとしてた部分は
あったなあ。
ユキ
そうなんだ。
——
うん。で、自分からそういう方向に行って、
このままでいいのかなって思ったのは中学校の時かな。
ユキの学校がどうだったかわからないけど。
うちの学校は小学校の時も中学校の時も
恋愛とかに疎かったんだよね。
でも、中学校になるとませてる子は
そういう話が出てきたりとかしてさ。
そうなっていくとテニス部の女子とか
バスケット部の女子とかが、ぶいぶい言わせてくじゃん。
ユキ
あー(笑)。
——
あ、ちょっと肩身狭いなって思ってきて、
そしたら学校生活もあんまり楽しくなくなっちゃった。
でも、高校で女子校に入ってからは
もう、大開放(笑)。
ユキ
(笑)
——
ユキはどうだった?
女の子じゃないなって気持ちになったことはある?
ユキ
女の子らしい女の子と女の子らしくない女の子で言えば
私も別にそんなに女の子らしいわけじゃないからね。
今でこそ、ってまあ、自分でいうのも変だけど、
女の子らしい女の子にシフトし始めているような
気がしているけど。
特に大学3年間はそういうのはなかったな。
でも研究室の男の子とか、コンスタントに
自分を女として認識してるであろう相手と会う機会が増えて
女の子らしくしとかなきゃってなったかな。
——
そうなんだ。
ユキ
うん。
小・中学校も女の子っぽい持ち物とかも持たなかったしな。
高校とかは自由でしょ。意識する相手もいないから。
大学になって理学部だから周りがみんな男の子だったけど、
個別には仲良くなかったから、
結局喋るのも女の子しかいなくて。
やってることは規模の小さい女子校みたいな感じだった。
——
そうだったんだ。
ユキ
4年になって実験が固定のメンバーになって、
その日くらいはちゃんとしようかなって。
化粧くらいは、もうちょい可愛くとか、
なんか流行りを入れてみようかな、とか。
まあ私もそんなに変えてないけど。
ベースメイクして、口紅を塗って、
眉毛を書くっていうだけだったのを
ちょこっと何かをプラスしようかなって思ったのは
4年生とか大学院行ってからかな。
——
それは、好きな人がいたから?
ユキ
いやあ、どうかな。
なんかね、容姿に言及されたのもあるかもしれない。
ある男の子がユキのこと可愛いって言ってたよって、
向こうが認知してたのを知って、
あ、見られてんのかって思った。
まあ、それが長谷川くん(ユキの彼氏)
なんだけど(笑)。
そしたら、1週間は別の服を着とかなきゃなとか。
——
相手の目があるって気づいて
初めて、自分を女の子らしくしようって思ったのか。
ユキ
元からの行動はちっちゃい頃から
刷り込まれてきた女の子なのかもしれないけど
そこから意識的にさらに女の子っぽくってなるのは
相手が自分のことを可愛いって評価するような
ものさしを持ってるってことを意識してから、かな。
第2回 横綱と露出狂