- 市川
- 今日は、時間をとってくれてありがとう。
デンマークに滞在してわたしが感じたことや、
日本とデンマークのライフスタイルについて、
セバスチャンの考えを聞きたいな、と思っています。
- セバスチャン
- オーケー。
- 市川
- 突然なんだけど……、
最近、あんまり自分の時間がとれてないな、
と感じていて。
それで思い出したのが、「ヒュッゲ」だったの。
日本でも、トレンドになったんだよね。
- セバスチャン
- うん、何度も聞かれたよ。
どこにいっても、ヒュッゲヒュッゲって(笑)
- 市川
- そうだったんだ。
それについて、どう感じたの?
- セバスチャン
- ヒュッゲは、デンマーク人だけが知っているものだ
と思われているんだなって。
- 市川
- あぁ、たしかに。
そうかも。
- セバスチャン
- でも僕は、「ヒュッゲ」はデンマーク人だけが
できることじゃないと思ってる。
- 市川
- 他の国でも、できるってこと?
- セバスチャン
- そう。
日本に来てから、たくさんの人に
「“デンマーク人は”どうやってヒュッゲな時間を
過ごしているんですか?」
って聞かれたんだ。
まるで、デンマーク人だけがやっていることみたいに。
- 市川
- うん。
- セバスチャン
- 僕は、ヒュッゲは「リラックスすること」だと思ってる。
デンマーク人だけのものじゃないんだ。
- 市川
- うんうん。
- セバスチャン
- 「キャンドルを使うのはヒュッゲですか?」
「飲み物はあった方がいいですか?」
「こうするべきですか?」……。
そう聞かれることがたくさんあったけど、そうじゃなくて。
もしキャンドルをつけた方がリラックスできるなら、
キャンドルに火をともせばいい。
もしお茶を飲んだ方がリラックスできるなら、
お茶を入れるのもいい。
方法は、それぞれみんな違うんだ。
- 市川
- デンマークのライフスタイルを
取り入れればいい、ってわけじゃないんだね。
- セバスチャン
- デンマーク人だけができるものじゃないし、
必ずしもデンマークから学ぶものじゃないと思う。
ヒュッゲは、特別なことじゃない。
自分にとって、何がリラックスできるのか?
そう考えれば、それぞれが
「ヒュッゲ」な過ごし方を知ってるはずなんだ。
- 市川
- 自分にとってリラックスできること……。
- セバスチャン
- ある人にとっては、ひとりで座っていろいろなことを考えるのが
リラックスできることだろうし。
他の人にとっては、誰かと一緒に過ごして笑うことが
リラックスできることかもしれない。
- 市川
- うん、そうだね。
- セバスチャン
- 僕にとってのヒュッゲは、
仲のいい友達や家族とどこかに腰掛けて、
のんびり過ごすこと。
誰かの顔色を伺うことなく、
思うことを言えるような時間は「ヒュッゲ」だ。
- 市川
- 家族や仲の良い友人の前だったら、
「どう思われるかな?」なんて気にしないもんね。
- セバスチャン
- うん。
自分の思うことが自由に言えない状況だと、
100%リラックスするのは難しい。
だから、言いたいことを存分に言える機会は
大切だと思ってる。
- 市川
- なるほど。
わたしがデンマークにいておもしろいなって思ったのが、
「ヒュッゲって何?」って聞いたときの答えが
みんなバラバラだったことなの。
「家族や友達と楽しい時間を過ごすこと」とか
「家でリラックスするような居心地のいい時間」とか。
それぞれ違う答えが返ってきた理由が、よくわかった。
- セバスチャン
- 一番大切なのは、リラックスできること」だと思う。
どんな方法であれ、
それが自分にとって心地いいことなら、ヒュッゲなんだ。
(つづきます)