僕はなにかに迷い始めると、やみくもに歩きだす。
散歩というほど可愛げのあることではなく、
あてもなく、2時間でも3時間でも歩く。
僕は普通の人よりも長いこと大学に通った。
仲の良い友達と東京中を歩いてたなぁ。
あの頃、歩いて話した内容は覚えていないけど、
その時間が好きだったことはしっかり覚えている。
現在の僕は自然教育系NPOの非常勤スタッフで、
経済的にも不安定な働き方をしている。
企業勤めの同級生の結婚を
どういう顔をして祝えば良いのかもわからないし、
自身のこれからの生き方にも迷っている。
あの頃を思い出して、歩こうと思った。
一緒に歩いてもらったのは、
同じNPOでインターンをしている大学院生の永田くん。
年齢が3つしか変わらない永田くんとは
似ているところもあれば、違うところもたくさんある。
違う点は、まず性格。
永田くんは、穏やかで、人の意見を否定しない。
NPOの学生ボランティアにもよく慕われている。
僕はといえば、
気に入らない意見は頑として受け付けないし、
親しい学生メンバーも多くない。
似ているところは、
たとえば学校や同級生への引け目というか、
「コンプレックス」を抱いているところ。
あるいは「セクシャリティ」について考えているところ。
だけど、机を挟んでいると話しにくかったりする。
27歳の僕と、24歳の永田くん。
生きづらさを抱えた二人が同じ景色を眺めながら、
普段話せないことをとりとめもなく、話した記録です。
(左が筆者、右が永田くん)