- ぼく
- いやあ、急に帰ってきてごめんね、一緒に『MOTHER2』をやろうだなんて。
- お母さん
- いえいえ、わざわざ東京から会いにきてくれて、うれしいよ。
今日のようすがほぼ日に載っちゃうなんて緊張するけど(笑)。
ゲームの前に、まずはお昼ご飯にしない?
- ぼく
- そうだね。そのあとゆっくり、『MOTHER2』の世界を楽しみましょうか。
母お手製、高菜の和風パスタとおでん。「後半味が濃くなってきたら、ブロッコリーを食べてね」とのこと。最後まで美味しくいただきました。
- お母さん
- でも、すごいなあ。新しいゲーム機で『MOTHER2』ができるなんて。
- ぼく
- 人気のゲームだから、今でも遊びたい人がたくさんいるんだろうね。
- お母さん
- まあ、私でさえも「たのしかった」って気持ちが残ってるくらいだもんね。
- ぼく
- 覚えてるんだ。でも、最後までクリアはしてないでしょ?
- お母さん
- したよ。私、ギーグ(『MOTHER2』、最後の敵)やったもん。
- ぼく
- えーーっ!! めちゃくちゃやってるじゃん! 絶対1週間に1時間じゃないでしょ、それ!
- お母さん
- ははは(笑)。ハマりまくってたときは、毎日1~2時間はやったね。
- ぼく
- いや、てっきり、「ちょっとやってみた」くらいのものかと思ってたよ。
まだ幼稚園くらいだったかな、夜中にトイレに行きたくなって部屋を出たら、リビングから光が漏れてて、恐る恐る覗いてみたらお母さんがゲームしてて…。でも、その日だけ偶然やってたのかなと思ってた。
- お母さん
- いつも夜中の12時くらいになると、テレビの電源つけて、ゲームのスイッチ入れて、また昨日の続きから。
- ぼく
- 深夜0時、冒険に出るんだ。
どうしてわざわざそんな夜更けにやってたの?
- お母さん
- うーん、べつに隠れてやってるつもりはなかったんだけど、とにかく君たちもお父さんも寝てからやるのが楽しかったのかなあ。
全員寝て、カーテンも閉めて、マジの独り。私だけの世界。
だから、こうやって昼やることに、すっごい違和感がある! こんな明るいなかやるって時点で、もう、私の『MOTHER2』じゃない(笑)!やっぱり、夜中にやるのが楽しいんだよね。
食後のおやつは『エンゼルパイ』。東京に来てからはなかなか見つけられず、帰るたびにお願いしています。
- ぼく
- 染みついてるんだ、夜中のイメージが(笑)。
でもさ、なんでそんなにハマったんだろうね?
ぼくらに時間制限かけてたくらいだし、ゲームなんて全然興味なかったんじゃないの?
- お母さん
- はじめたきっかけは正直覚えてないんだけどね…とにかく、冒険が楽しかった。
ふつうの主婦が冒険するって、ふつうはないじゃん。
このゲームってさ、次どこにいけばいいかとか、何をすればいいかとか、あんまり教えてくれないでしょ? そこがまた、自分で選んで進んでいってる気がして、おもしろいんだよね。ちょっとした根気さえあれば楽しめるゲームで。
- ぼく
- いや、じゃあ、ぼくらが1週間に1時間じゃ足りないってわかったでしょ(笑)!?
- お母さん
- まあ、君たちには習い事をいっぱいやらせちゃってたから…。とてもじゃないけど、計算上、ゲームをやってる時間はないなと。かわいそうだけど。
- ぼく
- 公文に通信教育、水泳にサッカー、野球にピアノか。多忙すぎて、小学生のころおばあちゃんに「ぼくね、ちょっとお疲れ気味なの」って言ったらしいよ。
- お母さん
- やっぱり、男の子ふたりだったからか、将来にすごく責任を感じちゃったんだよね。自分は短大だったけど、ちゃんと大学まで行かせてあげなきゃって。
でも、もっといろんなことをやらせてあげればよかったなって、今は反省してる。
- ぼく
- いろんなこと?
- お母さん
- 君たちが好きだった、将棋とか。
私が勝手に選んで押しつけるんじゃなくて、「やりたいことある?」って聞いてあげられたらよかった。君たちの意見を聞いて、君たちがやりたいことをやらせてあげればよかった。
- ぼく
- でも、そうやってたくさん習い事をさせてくれたおかげで、中学校の内申点オール5ですからね。どんなジャンルも楽しめるように育ててくれて、感謝ですよ。
- お母さん
- オール5だったの!?
- ぼく
- いや覚えてないんかい。