もくじ
第1回求む!福岡の醤油〈事前準備編〉 2019-03-19-Tue
第2回がめ煮のつくり方〈調理編〉 2019-03-19-Tue
第3回祖母と私とレシピの思い出〈食後編〉 2019-03-19-Tue

旅行が趣味。美術館めぐりに興味がある今日このごろです。

思い出の「がめ煮」をつくる

思い出の「がめ煮」をつくる

担当・平塚 朱里

「がめ煮」をご存知ですか。
聞き慣れないかもしれない、この言葉。
実は福岡の郷土料理の名前なんです。

2019年、2月末。
自宅の納戸にしまいこんでいた
ダンボール箱を整理していると、
失くしたと思っていた数枚のメモ用紙を発見しました。

そこに書かれていたのは、
祖母から教えてもらった、いくつかの料理のレシピ。

大学入学を機に、
福岡から上京することが決まっていた私は、
上京前に1度、
祖母に料理を習いました。

ささっと、手早く料理を作っていく祖母の傍らで、
必死に手順を書き留めていく――。
発掘されたメモ用紙は、その時のもので、
祖母のペースに追いつけなかったせいか、
雑な字で、レシピの要点だけがざっくりと書かれています。

そんな雑で読みづらいメモ。
大学卒業後の引っ越しで失くしたこともあり、
現在30代になった私が、
手にとったのは、実に10年振り。
懐かしさがこみ上げます。

今回、ほぼ日の塾の課題3「自由にコンテンツを」で
何をしようかと考えた時、
真っ先に浮かんだのが、このメモ用紙でした。

「そうだ、10年振りに、
これを見ながら、がめ煮を作ってみよう!」

はたして、美味しいがめ煮は作れるのか。
当時の記憶を手繰り寄せながら、いざ挑戦です!

※がめ煮を知らない方は、
ぜひ、どんな料理ができるのか、
想像しながら読んでみてください。

第1回 求む!福岡の醤油〈事前準備編〉

「福岡の醤油の味は、東京のものとは違いますよね」

3月頭。
ほぼ日の塾の3回目の課題である
「自由にコンテンツを」のテーマを相談する場で、
祖母から教えてもらった「がめ煮」を
作ろうと思うと話をした。
そこで頂いたのが、冒頭のコメントだった。

その言葉で、東京で初めて寿司を食べた時、
醤油が妙にしょっぱく感じたことを思い出した。
福岡で刺し身を食べる時はきまって、
普通の醤油よりも濃い、
「甘い」さしみ醤油を使っていた。
その甘い醤油に慣れていたので、
寿司を食べる時に、しょっぱく感じてしまったのだ。

九州の醤油は甘い。
がめ煮を作るのであれば、やはり地元の醤油は欠かせない。

そう思い、がめ煮の準備のために、
醤油の調達に動き出した。
当然というか、予想通りというか、
福岡の醤油は、近所のスーパーには置いていない。
ならばと、「全国の名物を集めた」お店を探し、訪れるも、
置いてあるのは、実家で見たことのある醤油よりも、
高級で特別感を醸しだした福岡の醤油ばかり。

2軒お店を回っても見つけられず、
東京の醤油で妥協しようか…。
そう思いながらエリアを変え、訪れた3軒目が、
有楽町にある福岡県のアンテナショップ「ザ・博多」。

店内をぐるりと見渡したところ、
入り口左手の棚に、
実家で見たことのある醤油を発見!


(左が福岡のメーカー、ニビシの醤油。右がいつも使っている醤油)

無事、醤油を手に帰宅し、
「福岡の醤油が甘いのは、熟成の方法が違うのかな…?」
などと、醤油づくりに思いを馳せていたところ、
ふと、裏のラベルに目が留まった。

「水あめ」

醤油が甘いーー。
それはどうやら、特殊な製造方法のためではなく、
シンプルに、甘みが追加されていることが理由のようだ。

製造元も醤油が甘いことに、何らためらいはない。
パッケージには下記の説明が。

「ニビシうすくちしょうゆは、特にうまみとあまみをふやした、ソフトな味の色のうすい調理用しょうゆです。」

ちなみに、東京で買った醤油には、
水あめは使用されていなかった。

当初、買い出しから調理まで、
1日で終える予定だったが、
醤油探しに半日以上を費やし、
醤油の甘さの原因を突き止めたことで、
この日は満足し、力尽きてしまった。

調理は翌日に持ち越しに。
その他の材料は、近場のスーパーで揃え、
いよいよ、調理開始!

第2回 がめ煮のつくり方〈調理編〉