もくじ
第1回「やさしい人 」ランキング1位のわたし。 2019-03-19-Tue
第2回本当はわたし、「やさしく」なかった。 2019-03-19-Tue
第3回正反対の考え方。 2019-03-19-Tue
第4回「やさしさ」ってなんだと思う? 2019-03-19-Tue
第5回「やさしく」あるために。 2019-03-19-Tue

1993年生まれ、愛知県出身の獅子座です。みんなで食べるおいしいごはんとたのしいお酒の席が生きがいです。下の名前は「ながこ」と読みます。

「やさしさ」ってなんだろう。

「やさしさ」ってなんだろう。

担当・溝部暢子

「ひとにやさしく。」
とは、誰しもがこどもの頃から
言われ続けている言葉だと思う。
でも、この「やさしさ」という言葉は、
思っていたよりもずっと複雑で、
わたしはおとなになったはずの今頃になって
それがわからなくなってしまった。

「やさしさ」ってなんだろう。
「やさしさ」って誰のためのものなんだろう。
どうしたら「やさしく」なれるんだろう。

考えれば考えるほどにわからなくなっていく
「やさしさ」について、わたしと正反対のスタンスに立つ
親友とのことを振り返り、話を聞きながら、
自分なりに考えてみようと思います。

第1回 「やさしい人 」ランキング1位のわたし。

わたしは自分のことをずっと、
「やさしい」人間だと思っていた。

困っている人を見つけたら、話を聞いて、
できるだけ力になれることを探して、
役に立てそうな時は率先して行動する。
普段から、誰かが求めていることを先回りして考えて、
相手に喜んでもらえるように行動しようと意識している。

そのことで誰かに恩を着せたいとかではなく、
自分が誰かの役に立てたら
わたしもなんだか嬉しい、くらいのつもりだった。
それが関係しているかはわからないけれど、
高校3年生のクラスの卒業文集で、
クラス内のアンケートで作られるランキングでも、
わたしは「やさしい人」部門で1位をもらった。

他の人から見ても、わたしは「やさしい」のだ
という思いは、自分の中で少しずつ確信を帯びていった。

大学進学を機に、わたしは
愛知県から石川県に移り住み、一人暮らしを始めた。
気の合う友だちもでき、それなりに楽しく暮らしていた。
大学で出会った友だちにも何かと世話を焼いては
「かもちゃん(※わたしのあだ名)はやさしいねえ」
と言われていた。

小山内と出会ったのはそんな時だった。

小山内とは、大学の写真部の新歓イベントで知り合った。
わたしと彼女は、年齢と性別以外、
見た目も性格もほとんど全てが正反対だ。
わたしは身長が153cmしかなく、
顔も薄くてザ・弥生人という見た目で、
初対面の人には人見知りをする方だけど、
小山内は身長も170cm近くあり、
初めて会ったときから
「わたし、アナと雪の女王に出てくる
 オラフに似てるでしょ?」
と自分から聞いてくるぐらい、
顔立ちもはっきりしていて、キャラも濃かった。

わたしが初めて話す先輩や同級生と
探り探りの無難な会話をしている横で、
小山内は先輩の発言にもガンガンツッコミを入れ、
彼女を面白がる人と、恐れる人に振り分けていた。

完全に初めて会うタイプの人間だった。

何もかもが正反対だったにも関わらず、
小山内とわたしは、服装の趣味や、
美術館巡りが好きという共通点もあって、
すぐに仲良くなった。
そして、小山内と一緒に過ごす時間が増える中で
わたしは自分の価値観を揺るがす、あることに気付く。

(つづきます。)

第2回 本当はわたし、「やさしく」なかった。