- 清水
- これ社長室なの？
- 糸井
- うん。でも、ほとんどミーティングルームだね。
- 清水
- あ、そうなってるんだ。いいね、重厚感がなくて（笑）。
- 糸井
- （笑）
- 清水
- 私、もともと糸井さんに聞きたいこといっぱいあったの。仕事の話になっちゃうけど。
- 糸井
- ぼくが清水さんのステージを見てる歴、ものすごい長いからね。
- 清水
- ジァン・ジァン(渋谷のライブハウス)のときからだもんね。
- 糸井
- そうそう。一番最初はジァン・ジァンからだからね。大体、娘を連れて行くことが多くて。
- 清水
- そうだ。小学生の時。
- 糸井
- そうそうそう。ぼくもね、清水さんについては、言ったり聞いたりしてみたかったのよ。
- 清水
- うんうん。
- 糸井
- 付き合いが長いけど、昔はどんなだったかとか改めて話したりしていない典型が清水ミチコなんだよね。清水さんは大学で勉強したの？
- 清水
- うん。家政科だったの。うちの田舎って短大とか大学行く以上は、教師免状を取るのが当たり前みたいな常識があったのよ。だから、それを取るまではちゃんと勉強しましたね。
- 糸井
- へっちゃらなんだ、そういうの。
- 清水
- へっちゃらってことはないですけど。でも、料理は好きだし、面白かった。
- 糸井
- ちゃんといい子だったんですか。学生時代は。
- 清水
- 私は、いい子でもなく悪い子でもなく、パッとしないような子だったけど、糸井さんの「ヘンタイよいこ新聞」とか、そういうものを高校のときに読んだり、『オールナイトニッポン』聞いたりとかして、だんだんと…
- 糸井
- パッとしていったわけ？
- 清水
- そう、自分の中では、パッとしていった。ほかの人はみんな恋愛してる中で、自分だけが「ビックリハウス」載ったとか、ラジオで投稿読まれたとか、幸せの度合いがちょっと違う感じだった。
- 糸井
- だけど、ラジオで選ばれたり、「ビックリハウス」載ったりするのって、実はけっこう難しいことだよね。
- 清水
- そうかな。
- 糸井
- 今やっても載る自信、ぼくないよ。
- 清水
- 本当ですか。
- 糸井
- うん。清水さんは、それができちゃったわけでしょう？
- 清水
- でも、そんなことばっかり考えてたからね、青春時代ずっと（笑）。
- 糸井
- いわばハガキ職人ですよね。
- 清水
- そうそう。ハガキ職人ってけっこう幸せっていうか、夢がありましたよね。
- 糸井
- いまだったら『IPPON』みたいな大喜利の番組があるじゃないですか。めちゃくちゃ面白いじゃないですか（笑）。
- 清水
- すごいよね。
- 糸井
- もし、あの番組にゲストで呼ばれたらどうですか？
- 清水
- いや、全然無理です、ああいうこと。
- 糸井
- え、清水さんでもできないですか。
- 清水
- できない。全然できない。
- 糸井
- じゃあ、清水さんがあんなに人を面白がらせることができるのは、何なのあれ。
- 清水
- 耳で聞いたことを自分なりに「こういうふうに感じました」って提出すると、たとえ違ってたとしてもおかしいんだろうね、きっと。
- 糸井
- 昨日、「こう思ったんだよね」ってことを清水さんに言いたくて、お風呂に入りながら考えていたんだけど。
- 清水
- うん。
- 糸井
- ぼくが発見したのが、清水さんは「『私はこう感じてます』っていうことを表現してるんだね」ってことだったの。
- 清水
- 当たってます（笑）。
- 糸井
- なぜ考え付いたかというと、清水さんはモノマネで批評をしてないんだよ、全然。
- 清水
- あ、うれしい。
- 糸井
- 通信販売をする瀬戸内寂聴さんとかあるじゃないですか。
- 清水
- はい（笑）。
- 糸井
- 瀬戸内寂聴さんはあのとおりにはしてないんだけど、私にはそう見えてますよっていうだけでしょう？
- 清水
- そうですね、うん。
- 糸井
- いいとか悪いとか一つも言ってないんですよ（笑）。
- 清水
- （笑）。うん。あんまり善悪関係ないかもね。
- 糸井
- たとえば、いつも強気なことを言っている芸能人がいて、みんなもそう感じてたとするじゃない。それについて、悪気があるとかないとかを全然言うつもりはないんだよね。「あなたは、すごく強気なことを言っている人として私からはこういう風に面白く見えていますよ」っていうことだよね（笑）
- 清水
- 確かに、うん。
- 糸井
- そうするとお客さんが、「そう見えてる！！」って（笑）。
- 清水
- 「あるある」って（笑）。共感の人が多いでしょうね。
- 糸井
- ツッコみ過ぎないじゃないですか。
- 清水
- そうですね（笑）。
- 糸井
- モノマネだからこそ、そういうふうに表現できるわけで、文章で書いてもつまんないよね。
- 清水
- うん、そうだと思います。