糸井 |
松村さんは、この犬の
フィギュアの話を聞いたとき、
すぐにやると決められました?
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松村 |
ええ、それはもう。
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糸井 |
そうですか。
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松村 |
たぶん、そう簡単にはいかないだろうなって
気持ちは最初からあったので、
うまくいくものなら、
という感じではありましたけど。
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糸井 |
簡単にいかないのは、特定の犬だから。
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松村 |
ええ。それともうひとつ、
自分がどこまでやっていいのかな、
ってことですね。
フィギュアって、どちらかというと、
男の子のものだと思うんですよ。
で、けっこう面倒くさいものだったりするんです。
なにしろ、「本物」があるのに、
わざわざあるんですから。
たとえば車のフィギュアだとして、
本物の車があるのに、
わざわざあるわけじゃないですか。
フィギュアって、
そういう七面倒くさいもんなんです。
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糸井 |
なるほど(笑)。
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松村 |
そういうものだから、
ついつい男っぽいほうに行こうとするんですよね。
男っぽいかっこよさだとか、精巧とか精密なほうに。
で、犬のフィギュアを作るというときにも、
俺自身はやっぱりかっこいいほうに行っちゃうんです。
犬っていうのは、かわいいんですけど、
同時にかっこいいとこもあるじゃないですか。
肉食獣の鋭さも持ってますよね。
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糸井 |
うん、うん。
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松村 |
口が「がっ!」てなってるような、
俺自身はそういうところを見てしまうんですね。
犬のかっこいいところを見て、
そういうかっこいい部分を
フィギュアにも出したいと思うんですよ。自分では。
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『日本の天然記念物』(小学館)の甲斐犬。
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松村 |
でも、このブイヨンのフィギュアを買う人たちって、
ふだんからフィギュアに
囲まれてるような人じゃないですよね。
たぶんこれは、
ふつうのフィギュアファンの人の
ものではないんじゃないか。
「ほぼ日」のグッズのラインナップを見たら、
やっぱり女性っぽいほうの流れがあるし、
そこんとこを、オレはいったい
どういうふうにしたらいいんだろうかと‥‥。
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糸井 |
ブイヨンの「かっこよさを出す」という方向では
ないとなったときに(笑)。
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松村 |
そうそうそう、だから、ほんというと、
「ほぼ日」で「フィギュア」っていうのは
けっこう、場違いかなと思ってたんです。
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糸井 |
いや、実はぼくも最初、
うちのスタッフたちが、
ブイヨンのフィギュアを作る相談で
海洋堂さんに行くという話を聞いたとき、
正直にいうと、場違いだろうと思ったんですよ。
「おまえら、大胆だな」と(笑)。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
フィギュアにしたときには、
かわいくないかもしんないよ、って。
つまり、いまおっしゃったとこですよね。
肉を噛み切るやつだから。
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松村 |
そうそう。そうなんですよ。
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糸井 |
そこらへん、担当の永田さんから
なにかありますか(笑)。
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永田 |
ぼくは、もともと
フィギュアを飾るタイプではないんですけど、
以前、ゲーム雑誌の編集部にいて、
自分の机にフィギュアを
たくさん飾っている同僚がいたんです。
で、それを見てると、年にひとつぐらい、
「それは俺も飾りたい」と思うものがあって。
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松村 |
はい、はい。
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永田 |
「マイファーストフィギュア」みたいなものが、
あるんですよね。
だから、ふだんフィギュアを買わない人にこそ
いちばんいいものをっていうか、
ブイヨンは、絶対に
半端なフィギュアじゃなく最高のものにと思って、
海洋堂さんにうかがったんです。
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松村 |
そこがやっぱり、俺としては、
やばいなと思ったわけですよね。
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糸井 |
やばい(笑)。
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松村 |
ずいぶんいつもと違うところだ、って
最初の印象はそうです。
いや、ブイヨンのことは前から知ってて、
好きだったんですよ。
以前、「チョコQ」のペット動物シリーズで
ジャック・ラッセルをやったことがあって、
そのときに実は、
勝手にブイヨンにしちゃおうかなと
思ったこともあったくらいで。
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糸井 |
へぇえ、そうなんですか。
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松村 |
でも、ブイヨンは、
耳が普通のジャックと違って特徴的なので、
やっぱり勝手にはできんなって思って
やめたんですけどね。
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糸井 |
ははは。
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松村 |
ま、というぐらいに
ブイヨンのフィギュアは
自分でも作りたいものではあったんです。
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糸井 |
いや、うれしいです。
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松村 |
でも、いざ実現してみると、
土俵はこっち(ほぼ日)なわけで、
これはずいぶん、畑が違う。
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糸井 |
畑が違う(笑)。
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松村 |
どうしようと思いました。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
ブイヨンのフィギュアを
「ほぼ日」で紹介している写真は、
大江(弘之)さんというカメラマンに、
撮影してもらったんですけど、
なんの打ち合わせもなく、
彼は、手のひらに載せて写真を撮ったんです。
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そうしたときに、今度は読者の人たちが、
「手乗りブイちゃん」と言ったんですよ。
あれでぼくは自分のなかでも、すっとわかって。
「見る」フィギュアというより、
「手乗り」っていう言葉のほうが
これには合ってるな、と思ったんです。
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松村 |
手乗り。
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糸井 |
手乗りブイヨン。
畑は違うけど、おかげさまで
みんなに可愛がられると思います。
ありがとうございました。
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松村 |
あー、よかったです。
ありがとうございました。 |
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(おわります) |