緊急相談企画! みちこですが、1週間後に親しらずを抜きます。

ほぼにちわ。
ほぼ日乗組員のみちこです。

おぼえてますか?
親しらずを抜いたみちこです。

ご報告が遅れてしまい、
たいへん申し訳ありません。
親しらずを大学病院で抜いてから
二ヶ月ちかくがたちました。
遅ればせながら、当日のこと、
そしてその後の経過など、
お伝えしていこうと思います。

そもそものことをご存じない場合は
どうぞこちらをお読みください。

それでは、時計の針を
きりきりと逆に回しまして、
2009年11月までさかのぼります。

きりきりきり‥‥。

私は、みなさまからいただいた
たくさんのメールを頭に詰め込み、
手術の約15分前に
大学病院へと到着しました。

受付で診察カードを機械にさしこむものの、
何度やっても認識してくれず、
けっきょく受付のお姉さんに
「できませんでした」と素直に泣きついて
入れてもらうという、
ちょっとしたハプニングはあったものの、
おおむね、順調です。

受付後、口腔外科の待合室で待ちます。
だんだんと緊張が高まります。
ほどなくして、名前を呼ばれました。
前回通された診察室を通り抜け、
さらに一つ奥の部屋に通されます。

手術なのですね、今日は、やはり。

手術室、といっても、
よくドラマとかでみるような
たいそうな部屋ではありません。

歯医者さんによく置かれている
ウイーンとなる椅子が4脚。
ふつうの診察室より
若干間隔がひろめに置いてあり、
その間についたてが置かれています。
手術室とはいえ、個室ではないのです。
服を着替えることもありませんでした。
置いてある機械は普通の歯医者さんに
よくあるものとあんまりかわりありません。

となりの席とは、
肩くらいまでの高さのついたてで
区切られているだけなので、
おとなりの手術の雰囲気が
なんとなくわかります。

おとなりもどうやら今日は親しらずの
抜歯をしにきた患者さんのようで、
「はい、これが抜いた歯ですよ〜」
「今日はお風呂にはいらないでくださいね」
「抜糸は一週間後です」
みたいな話し声がきこえます。

手術室の左奥の壁は一面、殺菌庫になっており、
助手の方がわたしの手術のために、
メスやら注射やら、ウイーンと歯をけずるドリルの
さきっぽを準備したりしています。
そのカチャカチャ‥‥という音が
わたしの緊張をさらに高めます。

ああ、もういよいよなのだなあ、と
どきどきしながらも、
みなさんのメールにあった、
「口の端が裂けることがあるので、
 リップクリームを厚く塗っておきましょう」
というアドバイスを思い出し、
最後のゲンを担ぐような気持ちで
リップクリームをキュキュッと塗っておきます。

どうか口が裂けたりしませんように。

そして先生があらわれました。
先日診察していただいたときとは違い、
今日は全身緑色の手術服を着ています。

医者 こんにちは。
みちこ こ、こんにちは。
医者 右と左、どっちの歯から抜くか、
きめてきましたか?
みちこ え、えっと‥‥。
医者 じゃ、私が決めてしまっていいかな。
みちこ あ、はい‥‥。
医者 レントゲンを見ると、
左右どっちもだいたいおんなじ生え方をしていますねー。
はい、じゃ、くちをあーんとあけて。
みちこ あーん。
医者 ああー、右側におおきな口内炎ができてますね。
みちこ ふ、ふぁい。
医者 左を抜いたらごはんがたべられなくなるから
右から抜きましょう。
みちこ お、おねがいしまふ。
医者 じゃ、まずは麻酔していきますね。
麻酔の注射がすこしでも
痛くないように、
皮膚麻酔をしてきます。
ちょっと苦いので、
なめないようにしてくださいね。
みちこ ふ、ふぁい。
医者 はい、そろそろ麻酔がきいてきたと
おもいます。
麻酔がちゃんときいているかどうか
確かめたいので、
今から押すところが痛くないか
おしえてください。
みちこ ふ、ふぁい。
医者 (親しらずの右後ろあたりの歯茎を
 ぐーっと押して)
はーい、ここはどうですかー?
みちこ い、痛いです!
医者 はい、麻酔追加します。(注射をする)
(親しらずの真横あたりの歯茎をぐーっと押して)
はい、ここは?
みちこ い、痛い気がします‥‥。
医者 はい、麻酔追加します。(注射をする)
(親しらずの内側あたりの歯茎をぐーっと押して)
はい、ここは?
みちこ い、痛い気がします‥‥。

ここまでくると、もう痛いのか、
押されているという感覚が伝わっているだけなのか
正直なところ、わかりません。
ただ、歯を抜かれている時に
ちょっとでも痛いとえらいことなので、
ついつい「痛い」と申告してしまいます。
そんなやりとりを4回くりかえし、
いざ、抜歯です。

医者 これからいよいよ抜歯しますが、
ちょっとでも痛いとか、
気になることがあったら、
手を動かすなり声をだすなりで
アピールしてください。
みちこ ふ、ふぁい。
医者 じゃ、いきますよー。
まずは、親しらずの歯茎のまわりを
切開します。
(メスをくちの中に入れる)
みちこ ふ、ふぁい。
(なんか切ってるっぽい!)
医者 はい、切開できました。
歯槽骨とよばれる、親しらずの
周りの骨をけずっていきますねー。
(虫歯をけずるときのドリルでウィーンとする)
みちこ ふ、ふぁい。
医者 (1分ほどで骨を削り終えて)
はい、じゃ、次は埋まっている
親しらずをくだきますね。
まずは歯をけずります。
みちこ は、はははい。
医者 (虫歯を削るときのドリルでウィーンと
 親しらずをけずる)
はーい、じゃ歯をくだきますね。
みちこ は、は、ははははぃ。
医者 ふっ!
(削った歯に小さいノミのようなものをいれて、
 ちからをいれる)
あ、ごめんなさい、割れなかったわ。
みちこ !!!!
医者 ほっ!

(「ばりっ!」)
みちこ !!!!!!
医者 はい、これが抜いた親しらずですよー。
3つに割りました。
ちいさいですね。
みちこ あ、ありがとうございまひた‥‥。
医者 では、縫合します。

と、二針、歯茎を縫われました。
わたしは、傷口を縫合されるのが
はじめてだったのですが、
よく、「◯◯針を縫う大けが」とかいいますよね。
あれ、ようやく意味がわかりました。
一回縫い合わせるごとに糸を結んで、
切るんですね。
手芸の縫い物みたいにさくさく縫うわけではなくて
一回糸を結んで切るたびに、ひと針、です。

先生にすばやく縫合されて、
しばらく脱脂綿を
噛んでおくように指示されました。
待つこと5分ほど‥‥。
(ここで、血が止まらなくなった方も
 いらっしゃいましたね‥‥)
先生が戻ってきて、
術後の説明をしてくださいます。
まずは、私の手術のあとを鏡でみせ、
縫合箇所と、親しらずを
抜いた後をみせてくれました。

縫合されたときは、親しらずを抜いた後を
縫ったのだとおもったのですが、
縫われたのは、メスできられた歯茎のほうでした。
親しらずのあとは、なんとそのまんまぽっかりと
穴が空いており、
その穴に血が溜まっている状態です。

みなさんから頂いた
アドバイスのとおり、
この血がかたまって、歯茎になるんです。

医者 今日はお風呂にはいらないでください。
血流がよくなることはさけましょう。
運動もなるべくしないで、
安静にしていてください。
お薬は出したぶんはすべてのみきってください。
みちこ はい。
医者 一週間で、抜糸できますので
かかりつけの歯医者さんで
抜糸してもらってくださいね。
みちこ はい。
医者 で、やまかわさんは、あと一本ありますから、
今日抜いたところが回復してきたら
電話してください。
今日は以上ですが、だいじょうぶでしょうか。
みちこ はい、ありがとうございました。

手術自体は15分ほどで
あっけなく終わってしまいました。
やはり、口腔外科の先生は親しらずの抜歯に
相当なれていらっしゃるようです。

さて、歯が抜けたらここからが勝負です。
読者の方からの抜歯後の
主なアドバイスは下記のとおり。

麻酔であんまりちゃんと口が
 しまらなくなるので、マスクをする。

翌日顔がはれるので、
 冷えピタをすぐはって冷やす。

麻酔が切れたら痛むので、
 痛み止めはもらったらすぐに飲む。

総合受付に会計の手続きをとると、
さっそくトイレに向かい、
持参していたマスクをつけ、
冷えピタを貼りました。

そのまま、病院の最寄りの薬局にむかい、
痛み止めと抗生物質をもらいます。
そのとき、薬剤師の方に、
「ああ、おやしらず抜いたんですね。
 痛むでしょうから、
 そこのウォーターサーバーのお水を使って
 すぐこのお薬をのんでくださいね」
と声をかけていただきました。
「ありがとうございます」と頭をさげて、
さっそく薬を飲みます。

実は、わたし、抜歯当日は
「しょうがのお勉強」というコンテンツの
取材がありまして、
その足で取材に向かったのです。

いや、休んでもよかったのかもしれませんが、
このコンテンツの取材では、
おいしい、しょうがのおやつ
いただけることになっていたのです。

しょうがのおやつ、
食べたいではないですか!

「やめといたほうがいいんじゃない?」と
心配するあやややましたこいけの声を
「大丈夫!」の一点張りで押し切って、
いただきましたよ、しょうがのおやつ。
ジンジャーエール、
ジンジャーキャロットケーキ、
くるみのナッツ、などなど‥‥。

血の味が多少するものの、
右あごはなるべく使わずに左あごで
食べるようにすると、意外と大丈夫でした。
歯茎の回復のためにも
ごはんは食べたほうがいいかなー、とおもいます。

ただ、細かい粒状のものなどは、
歯を抜いたあとの穴につまったりしやすいので、
要注意です!

その日は取材後、いつもよりも少し早めに帰宅して
冷えピタをばっちりはり、
マスクをしてふとんに入りました。
読者の方のアドバイスにしたがって、
出血して、まくらをよごさないように
まくらの上にはタオルをしきます。
口のなかはまだ血の味がします。
血のにおいがきになりつつも
手術と取材で疲れていたのか、
すぐ寝てしまいました。

翌日めざめると‥‥。
ふだんマスクをしなれないので、はずれており、
冷えピタも水分を失って、かぴかぴになってました。
むくりとおきあがり、まくらを確認すると‥‥
まくらにしいたタオルには血痕ひとつありません。
なーんだとおもって鏡をみると‥‥。

きゃあああああああ!

やはり出血がとまっていなかったらしく、
口のまわりに血がかたまって、
まるでチョコレートを食べ終わった
子供のようになっていました。
あと、歯槽骨を削ったところの右ほっぺたが
ばっちりぷっくりはれていました‥‥。
冷えピタをはらなかったら
もっとはれていたかもしれません。
みなさまのアドバイスに感謝、感謝です。

はやく腫れがひくように
あらためて冷えピタをはり、
腫れかくしのマスクをつけます。
ちなみに痛むことは
あんまりありませんでした。


おやしらずを抜いたひとは、このように冷えピタをはって、
マスクをつけましょう。

さて、抜歯の翌日は
かかりつけの歯医者さんで、
傷口の消毒をしてもらいます。

消毒自体は消毒液のついたコットンで
傷をぬぐうだけで、
あっというまにおわったのですが、
かかりつけの歯医者さんから、
「血が止まってないですね」といわれました。
以前に抜歯したときもそうだったのですが、
わたしはどうやら血が止まりにくい体質みたいです。
ほんとうに血が止まらなくて気持ちわるかったら
これを10分くらいかんでくださいね、と
滅菌した脱脂綿を渡されました。

ずっと口の中が血の味がして
不快なのはいやなのですが、
みなさんからメールをいただいたように
脱脂綿をかみすぎて、血がたりなくなって、
うまく歯茎が回復しない、
「ドライソケット」になるのをおそれ、
なんとなく脱脂綿はつかわずに、
なるべく傷口に舌がふれないように
しばらくすごしました。
ちなみに、この日は弊社社長の誕生日。

『LIFE』でおなじみの飯島奈美さんが
会社にいらして、
乗組員全員ぶんのごちそうを
たっぷりつくってくださいました。

飯島さんのごちそう、
食べたいではないですか!
食べないわけにはいかないでしょう、
飯島さんのごちそう!

ぷっくり腫れた顔が恥ずかしくて
つけてたマスクもいつのまにか
どこかへいってしまい、
がつがつごはんをいただいてしまいました。

すごーくおいしかったです!
たとえ血の味がしても。


社長のお誕生日記念に記念写真をとりました。
記念すべき日に、わたしの右ほっぺはぷっくり腫れています‥‥。

ごはんをたっぷりたべて元気を補充したところで、
来週は抜糸です。

(次回につづきます!)


2010-02-04-THU

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