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さて、京都ですね。 |
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京都ですねぇ。
今回はどこに行くんでしょうね、
神様をさがしに。
(おいしそう、あわ餅‥‥)
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目的地は
北野天満宮(きたのてんまんぐう)と
大将軍八神社(だいしょうぐんはちじんじゃ)
です。
ふたつの神社は近所なので、
今日はそんなに歩かずに行けますよ。 |
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山も登らないですし。 |
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今日は天気もいいし、
さすがに雨は降らないでしょう! |
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雨‥‥‥‥。
(前回、ひどかったなぁ) |
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(そういえばそうだったなぁ) |
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京都の神社に行くのって、
ぼくははじめてかもしれない。
オイカワさんは、京都は
ちょっとくわしい感じ? |
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京都はね‥‥、みなさん、
恵文社って本屋さん、わかります? |
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一乗寺にある恵文社ですね。 |
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イラストの活動をはじめて
かなり初期のころから
個展をさせてもらったりして、
よく通ってました。
逆に言うと京都はそこしか知りません。 |
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そこしか‥‥。
ものすごいピンポイントですね。
恵文社はとても人気のある本屋さんですね。 |
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行ってみたいなぁ〜〜〜。 |
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と、いうことはつまり、
ソブエさんもオイカワさんも
北野天満宮は、はじめてですか? |
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はい、はじめてです。 |
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はじめてでございます。 |
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では、ここでモンダイです。
北野天満宮は、
どなたをお祀りしてるか、ご存知ですか? |
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ぜんぜん知らない。 |
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申し訳ないけどぼくも知らない。 |
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あ、もしかして、妖怪かな? |
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‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。 |
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妖怪‥‥‥‥じゃないと
思うんだけど、
「天神さん」というのは知ってますよね? |
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てんじんさん。あ、わかった!
あの、学問の神様、藤原道真でしょう。 |
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ソブエさん、いま、
藤原って言いました? |
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藤原じゃないの? |
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道真(みちざね)は合ってます。 |
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じゃ、豊臣? |
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‥‥‥‥。 |
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平(たいら)の? |
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‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。 |
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けっきょく「藤原」が
いちばん近いですよ。 |
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あ‥‥菅原!
菅原道真さんだ。 |
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そうです、菅原さんです。
菅原道真さんはこれからお参りする
北野天満宮に、ご祭神としてお祀りされていて、
「天神さん」と呼ばれ、親しまれています。
『百人一首』にも歌がある人ですよ、ほら。

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あっ、こういう現物が出てくると
何か楽しくなってくるネ!
ぶふふふ。 |
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「此の度は 幣もとりあへず手向山
紅葉の錦 神のまにまに」 |
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この「菅家(かんけ)」というお名前は
菅原道真さんのことなんですか? |
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そうです、「菅家」は略称。 |
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ねぇねぇ、これってモリサワの
A1書体じゃない?
初期の手動写植機の。
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読み札の書体のことですか? |
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そうそう。
モリサワのA1かどうかは
「た」の字が出ればわかるけども‥‥。 |
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「た」、さがすんですか? |
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ちょっと見せてくださいよ。た‥‥た‥‥
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探求が別の方向に行ってますよ、
ハタナカリーダー。 |
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た‥‥た‥‥。
(かるたをめくる)
頼むよ、頼む。 |
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なかなか出てこないですね。 |
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あった!
「た」がありました。
ソブエさん、どうです? |
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‥‥‥‥(じっと「た」を見る)
やっぱしそうでした。モリサワのA1。 |
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(なんでわかるんだろう) |
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これはモリサワが最初に作った書体です。
その当時、明朝体のことを
「A」と言ってたんですよ。
ゴシックが「B」だったの。
で、これは明朝のひとつめの書体で
「A1」というんです。 |
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それ、いつ頃のことなんですか。 |
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AとかBとか言ってたのは昭和初期。 |
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昭和初期! |
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その書体を
いまもずっと使ってるということですか? |
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微調整されてるでしょうけども、
コンピューターにも
この書体は入ってたりしますよ。
すいませんねぇ、どうでもいい話でしたねぇ。
(にこにこ) |
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いえいえ。 |
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どうでもいい話でしたねぇ‥‥!!!
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いえいえ、そんな。あのぅ‥‥。 |
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「菅家(かんけ)」も
菅原道真の略称だったんですが、
もうひとつ、略称があるんですよ。 |
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前の総理大臣だった菅さんは
関係あるのかなぁ。 |
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菅家。カンケー。 |
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うん、カンケーあるのか、あ‥‥菅公? |
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あ。オイカワさん、わかりましたね? |
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カンコー学生服だ! |
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そうそう。
カンコー学生服というのは
菅原道真さんから取ったのです。 |
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ほんとですか? |
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「閑古鳥が啼く」のカンコもそうかな? |
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‥‥あ、いや
それはちがうと思うんですけど。 |
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学生服の名前になるなんて、
まさに「勉強できるように」という
ことなんでしょうね。 |
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ああ、そういうことか。勉強できる学生服。
カンコー学生服(歌う)♪ |
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では、「勉強」というと
何はともあれこの人、
なんですね? |
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封筒で知られる文具メーカーにも
菅公という会社があるくらいです。 |
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封筒といえば
「うずまき」しか知らないけど‥‥。 |
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その「うずまき」、
菅公工業という会社のブランドです。
菅原道真が能書家だったことから
そういう会社名にしたのではないでしょうか。
たしかに「うずまき」というブランドのほうが
有名になってますけども。 |
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それは、
ユニクロがファーストリテイリングだ、
みたいなことですか(真剣)? |
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え? あ、
ユニクロがファーストリテイリング‥‥
ええ、そうですね、そうです、そうです。 |
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そうかぁ(納得)。 |
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ところで菅原道真は
ほんとにいた人ですよね?
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実在しました。
いまは学問の神様として有名ですが、
平安時代、右大臣にまでなった方です。
しかし、醍醐天皇の在位中に
太宰府に流されてしまいました。 |
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はい。偉い人が、流された。 |
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流されるっていうのは
べつに船に乗って流されるんじゃなくて、
「流罪」という意味で。 |
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もちかちて(もしかして)、
なにか悪いことでも
したんですか? |
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いえ、そうではなく、
左遷されてしまった、ということです。
そのとき、左遷先の太宰府に
梅の花が咲いていて、
京都の梅をしのんでそれを愛でたので、
菅原道真といえば、梅。 |
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太宰府って? |
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九州です。 |
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流されたのかぁ。 |
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そこは島ですか? |
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いや、ですから九州です。
流されるのは、
船という意味ではなくて、左遷。 |
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そこで梅を見て好きになっちゃった? |
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太宰府で、
京の北野の梅を思い出し愛でていた、
ということです。 |
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‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。 |
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ハタナカさんが流罪の説明で
息が切れる前に、
お参りに行きましょうか。 |
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行きましょう(立ち上がる)。 |
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ところで京都というのは、
お店ののれんで魔除けをする習慣が
あるのですか? |
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というと? |
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ほら、見てみて。
のれんの表裏が逆でしょ。
これはきっと、魔除けですよ。
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(じーっとのれんを見る)
あ、お店の名前が表裏逆!
さすがソブエさん!
お店の人に訊いてみましょう、
すみませーん。え? そうなんですか。
なぁんだ。
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なにかわかりましたか。 |
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「粟」の字が左右対称だから、
ただ単に間違えて
逆にかけてしまっただけなのだそうです。
おおきに、と
お礼を言ってくださいました。 |
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深い意味がなくてよかったです。 |
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では、参りましょう! |
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ハッ。みなさん!
お隣りの和菓子屋さんを見てください。
「菅公」というお菓子がありますよ。 |
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さすがお膝元ですねぇ。
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右の
「北野の忍さん」というのは、
いったいなに? |
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しのぶさん‥‥恋人でしょうか。 |
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あのぅ、みなさん、
あまりいっぺんに覗き込むと不気味ですよ。
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もしかして、京都の梅をしのんだから、
しのぶさん? |
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それはつながりすぎな気が。 |
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わぁ、大きい鳥居!!
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ビッグトリーつまり、ビクトリー。 |
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そう、ここが
学問のビクトリーを願う
北野天満宮ですよ。 |
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(次回は、神社へ入りますよ〜。つづく!) |