さあストーリーを みんなで思い出してみましょう! 例によって、 「ストーリーは知りたくない」かたは このページは閉じることをおすすめします! |
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します! |
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舞台は原作では東京、 映画では大阪です。 下町のアパートに二人で暮らしている 内縁関係のカップルがいます。 女の名が幸江(ゆきえ)、 男が、イサオ。 |
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幸江さんを演じるのが中谷美紀さん。 |
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イサオを演じるのがあべちゃん。 |
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阿部寛さんですね。 |
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幸江さんは、美人なのかそうでないのか よく分からないけど、 おっきなほくろが鼻の横にある女性。 すごく幸薄そうな‥‥「幸子の幸は」で。 |
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ばんばひろふみさん? 幸子という名は皮肉だと? |
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「SACHIKO」? 僕はあがた森魚さんの 「赤色エレジー」なんだけど。 幸子の幸はどこにある。 |
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わあ、年齢層高いわ、今回は。 |
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で、その幸薄い幸江さんと、イサオで、 イサオがどうやら全く働いてないんですね。 いつも無表情でパンチパーマの、 影があって魅力がないわけではないんだけど すぐ狼藉を働く 「こまっちゃったなあ」な男。 ただぐうたらしていて パチンコや競馬やら麻雀やらで 幸江のかせいできたお金をつかっちゃう。 気に入らないことがあると ちゃぶ台を、パアンとひっくり返しちゃう。 |
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ごはんをめちゃくちゃに |
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マンガでも映画でも 最初は延々とちゃぶ台がえしです。 不思議とそこに悲壮な感じはあまりなくて、 往年のドリフやなんかのこう、 食卓コントみたいなムードも ちょっとありつつ、 「寺内貫太郎一家」的な しょうがねえなあな感じもありつつ。 ‥‥あのう、たとえが古いですかね。 |
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いえいえ、わかりますわかります。 |
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幸江さんはラーメン屋で バイトをしてるんですね。 そのラーメン屋のご主人っていうのが、 幸江さんにほの字で、 もうしょっちゅう言い寄ったり、 いいふうに見られようと したりするんですけど、 全然振り向いてくれないんです。 それぐらいイサオのことが 幸江さんは本当に好きで。 で、だんだん分かってくるのは、 元々はやくざ稼業の人だったってこと。 |
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大親分の息子だったのね。 |
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その父親が亡くなって、 |
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いいなあ。うん。 |
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で、幸江が育ったのは 北のほうの海辺の町でしたね。 |
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気仙沼です。 |
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気仙沼ですか! |
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それで、気仙沼ちゃんが! |
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また、その設定が 素晴らしいと思いませんか。 |
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そうですね。 |
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気仙沼っていう。 |
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そうか、気仙沼ちゃんが出てました。 |
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説明しなくて大丈夫ですか、 気仙沼ちゃんは(笑)。 |
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気仙沼ちゃん知らない? |
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欽ちゃんファミリーですよね。 |
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「欽ドン!」よね。 |
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土曜の夜7時半だよね。 (コイケに) 気仙沼ちゃん知ってますか。 |
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私、ギリギリです。 |
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はい、お読みいただければと。 |
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はい、その気仙沼ちゃんです。 なつかしいです。 映画『自虐の詩』に出演なさってます。 それでね、その気仙沼の少女時代、 公立の学校に通ってるようすなんだけど、 どうも幸江にはお母さんがいないんですね。 お父さんと二人で暮らしてる。 |
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そのお父さんが西田敏行さん。 |
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どうしょうもない人でねぇ。 女に入れあげちゃうのね。 その女が豪勢な結婚式を挙げて ハワイに新婚旅行に行きたいと。 |
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名取裕子さんがやってるんですよね。 で、お金を工面するために、 父ちゃんが、銀行強盗をしてしまって、 とうとう幸江は一人ぼっちに なってしまうんです。 |
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マンガでも、幸江さんの思春期を フューチャーしている回が 出てくるんですか。 |
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そうです! いっぱい出てきます。 結構ね、原作に忠実です。 |
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あ、そうなんだ。 そうなんだ。へええ。 |
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今の幸江さんと昔の幸江さんが、 こう、層になってる感じが。 |
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偶然か考えてか分かんないですけど、 マンガの構成が 映画的になってるんですよね。 |
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あああ! |
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現在の行動をかかえてるフィールドから 過去にフィードバックして。 |
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あなたむずかしいこと言いますね。 |
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あれですもんね、 後ろのほうで子ども時代のドラマが 重層的にね、こう。 |
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あなた同じこと言ってますね。 |
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多分描き始めたときは、 ギャグマンガにしようと 思っていたのではないでしょうかね。 分からないですけども。 |
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わかんないけど、こんな結末は 作者の業田さんですら 最初は予想もしてなかったんじゃないかと、 そんなふうに思うほどに、 物語が運命的に進みますよね。 宿命的というか。 |
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じゃないかと推測。 |
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じゃないかと。 |
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されますよね、結構ね。 |
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ね。 |
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結構ね。 |
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われわれもなんども同じことを 言ってますね。 |
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そうよ、そうよ。 |
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お父さんのエピソードとか、 ラーメン屋の店長のエピソードとかも あとからいろいろガーって来ますよね。 |
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そう。マンガのほうがね、 その層になり加減は、 乱暴かつ大胆に挟まってくるんだけど、 映画では、繊細にちみつに入ってきますね。 幸江に赤ちゃんができますよね。 で、赤ちゃんができたことを ものすごくショックに感じたイサオが 家を出ちゃうんですよね。 |
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テーブルひっくり返してね。 |
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出てっちゃうんですよね。 |
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テーブルをね。 |
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また同じこと言ってる。 |
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テーブルじゃなくて ちゃぶ台よ。 |
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お膳か。お膳。 |
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ちゃぶ台だってば。 |
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そう、ちゃぶ台。 |
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幸江さんは、赤ちゃんができたこと、 喜んでくれないんだみたいな気分で、 落ち込みながら働き続けるんだよね。 で、トラブルが起きます。 さすがにこれは言わずにおこう。 原作のマンガにもないトラブル。 |
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ここはじつに映画的。 |
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そこから回想シーン、 濃密に中学時代のことが 描かれていくんですね。 ここで、出てくるのが、 熊本さんっていう唯一の親友。 女の子。すごい女の子。 |
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私、熊本さんって 両方同じ女優さんだと思ってた! |
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中学時代の熊本さんと、 大人になった熊本さんが? |
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さすがにそれはないわ。 |
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わたしも同じだと思ってた! 違うんですね。違うんだ。 びっくりしたよね。 |
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ねえ。 |
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それぐらい中学時代の熊本さんと 後に出てくる熊本さんはそっくりですね。 |
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そっくりですね。 |
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熊本さんっていう人は 幸江ちゃんよりどうやらもっと貧乏で、 家庭環境は謎なんですよ。 |
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でも、激しい感じがするんですね。 |
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すごく燐とした、でもばっちい‥‥。 |
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壮絶なまでに。 |
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野獣。 |
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野獣キャラですよね。 学校の備品をどんどん 持って帰っちゃうんですよね。 |
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どんどん、動物とかも 持って帰っちゃう。 |
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あの亀はどうするんでしょうかねぇ。 |
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亀、持って帰ってましたね。 |
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七厘持ってましたよ。 食べようとしたんじゃないんですか。 |
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食べるんですかね。 |
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そのとおりワイルドに生きてる 女の子として描かれてて。 これ、原作でも相当近いものがありますよ。 |
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近いですね。 |
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それで、ええと、 このあたりからは言わなくてもいいかな。 それで、幸江とイサオはどうなるか、 幸江と熊本さんはどうなるか、 というところが描かれていきます。 これはマンガでも同じです。 ‥‥という、ストーリーですね。 |
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最後の台詞も一緒でしたね。 映画の最後とマンガの最後。 |
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一緒ですね。 |
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素晴らしい台詞だと思います。 |
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素晴らしい台詞です。 |
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うん。すごいよね。 |
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泣けますね。 |
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泣けるねー。 |
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これはもう、言わないほうがいいね。 |
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そうですね。 |
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その大人の熊本さんは、 アジャ・コングさんがやってるんです。 で、そこから逆算して こども時代の熊本さんも とっても味のある子で。 |
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丸岡知恵さんというんですね。 味がありますよね、この子。 |
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タイのバンコク出身。 テアトルアカデミー所属。 |
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そう、そう。 |
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『ピカ☆ンチ』に出てるんですね。 |
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へええ。 |
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監督、お気に入りなんでしょうね、 きっとね。 |
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この幸江の子ども時代も、 こういう子、よく見つけたなと思って。 |
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岡珠希さんという女優さんですね。 劇団ひまわり所属。 |
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こういう子、いますよね。 |
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普通の子ですよね。 普通の子が家庭環境で こういうふうになっていく、 というのが、すごくよくできてて。 |
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前髪の長さというかね、 暗い感じとか重さとかね。 『自虐の詩』、 俳優さんがすごくよかったですね。 |
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阿部さんがまたいいんだ。 |
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きれいな顔してるのに、 よくこの役を! |
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マンガではイサオは 結構しゃべるんですけどね、 映画はしゃべらないんですよね。 |
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ほとんどしゃべらなかったですね。 |
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