アメリカに暮らし、
世界じゅうを旅した子ども時代、
モデル、俳優、音楽活動を経て、
全国に6店舗を展開する人気ブランド
「ハウス オブ ロータス」の
クリエイティブディレクターを務める。

桐島かれんさんの多彩な活動には
そのたびに多くの注目が集まります。

糸井重里とは古くからの友人でもあります。

桐島さんの歩みはマイペースに見えますが、
現在の活動の根底には、
世界を巡って得た「時間の遺産」に対する発見と
静かな意志がありました。

桐島さんの「ハウス オブ ロータス」は、
2019年4月17日から21日まで東京・丸の内で開く
「生活のたのしみ展」にも参加します。

特別ですてきなものが、たくさん並びますよ。

第2回

時間のずれが

残すもの。

桐島
「東京と世界」がテーマということは、
世界のものも扱われるんですよね?
糸井
はい。
世界的な企業がつくっているものも、
「日本の作家さんがひとりでつくってます」
というような雑貨も、
ぜんぶ一緒にドーンと並べます。
桐島
企業も参加されるんですね。
どんな出展があるのかたのしみです。
糸井
今回は、全体の半分ぐらいが新しいんですよ。
つまり「生活のたのしみ展」初出展のお店が半分。
桐島
ずいぶん顔ぶれが変わるんですね。
糸井
毎回新陳代謝したいという気持ちもあるんですが、
つくるのに時間がかかるような
手仕事のお店が多いから、
次の開催のために「溜めておく」という期間も
かわるがわる必要で。
桐島
ええ、そうなりますよね。
企業というのは例えばどんなものが?
糸井
ドイツのグミのHARIBOとか。
桐島
グミ?! HARIBOはうちの子の大好物です。
食べものもたくさん出るんですか?
糸井
食べものの大きなゾーンもできます。
このときしか食べられない限定のものもある。
日本のエリアがあって、世界のエリアがあって、
ワークショップや出しものがあって。
桐島
はぁぁ、たのしそう。
回を追うごとにますます進化する感じ。
既存のファンもたくさんいらっしゃるでしょうけど、
来るたびにあたらしい感じがするでしょうね。

糸井
アルバイトで働いてくれる人も
「今回もやりたいです」って、
くり返し参加してくれるんですよ。
桐島
しかも全国から集まってらっしゃると聞きました。
すごいですね。
糸井
それはもう、ぼくらにもわからないことで‥‥、
いったいなんなんだろう、
わからないけれども、そこまで含めて
「生活のたのしみ展」みたいな気がしています。

それってね、かれんさんがお店でやってる、
一見、無計画そうに見える活動の‥‥
桐島
はい(笑)。
糸井
途中で水こぼしても
「どこにこぼしましたかね?」みたいな
あの、走りながらやってる姿勢、
あの姿勢は、やっぱりやめないんでしょう? 
桐島
いえいえ、自分では
そんなつもりでもないんですよ(笑)。
もともと「ハウス オブ ロータス」は、
自分の家を開放した
小さなお店だったんです。
当時は子ども4人の子育て真っ最中だったし。

糸井さんもご存じのとおり、私自身、
あちこち旅をしながら育った子どもです。
母がそういう人だったもので。
(ほぼ日註(ほぼ日註
桐島かれんさんのお母さんは、
作家の桐島洋子さんです。
未婚の母として3人のお子さんを連れ、
世界各地をたくましく巡り歩かれました。
著作『渚と澪と舵』などをぜひ読んでみてください)
糸井
子どもの時期のかれんさんは、
ほんとうにすごかったね。

桐島
夏休みは1~2か月かけて世界一周旅行。
おかげで当時はなかなか行けなかったような場所にも
たくさん旅しました。

アメリカにも住んでいたので、
自分のからだのなかにはやっぱり
西洋文化も息づいていると思います。
私の若い頃は、当然のように
アメリカやヨーロッパのファッションが
流行っていました。

それはそれでわかるんだけど、
幼い頃からいろんなところへ旅したおかげで、
私はどちらかといえば、
同じ世界に存在しているはずの場所が持つ
「タイム・ディファレンス」に
心惹かれるようになっていたんです。
糸井
時間のずれ、みたいなこと?
桐島
ええ。
例えば高校生のとき──、中国に行きました。
人々は人民服を着ていて、
道は自転車で埋め尽くされていた、そんな時代です。
お店で売られているものも、当時の日本からみれば、
30年ほど昔のもののような感じでしたが、
逆にキッチュでかわいかったり、懐かしかったり、
タイムスリップしたような不思議な感覚になりました。

その高校生あたりの頃から、
私は徐々に民芸品を買い集めるように
なっていきました。
たぶん世界じゅうの場所が持つ時間のずれが
気になったからだと思います。
糸井
なるほど。
桐島
結婚して、それがますます加速(笑)。
西洋だけではない、アジアだけではない、
アフリカにもメキシコにも、
すばらしいものがいっぱいある。
世界各地で、時間のずれ方が、
ちょっとずつ違うんですよ。

糸井
時間のずれがあるから、
すごいものが残っているのが
わかるんだね。
桐島
そうですね。
日本はあまりにも急速に成長しちゃったでしょう? 
そのために、大事なものが
いちどにパッと消えてしまったような気がします。

ところが世界には、
時間の流れ方がもう少しだけゆっくりで、
日本が失ったものが消えてない場所がある。

ひとつひとつ見ていくと、
いろんな民族が生み出してるものが
かなり魅力的なこともわかってきました。
それを紹介できる場があったらいいなと思って、
自分のお店に並べていった感じなんです。
糸井
家に場所をつくって、
最初は「超ガレージセール」みたいだったってこと?
桐島
そんな感じです。
ただ、好きでやっていました。
期間限定で、
子どもたちの夏休み3週間だけ、なんて決めて、
売切れ御免というかたちで
最初はやっていたんです。

(明日につづきます)

第4回 生活のたのしみ展

東京・丸の内

2019年にはラグビーワールドカップ、
2020年にはオリンピックとパラリンピックが、
東京で開かれます。

「世界」が東京にやってこようとするこのときに、
東京の玄関、丸の内で「東京と世界」をテーマにした
「生活のたのしみ展」を開きます。

「生活のたのしみ展」は、
ほぼ日が主催する期間限定のフェスティバルです。

よりすぐりの品が買えるだけでなく、
ワークショップやイベントも日々開催。

ちょっと立ち寄って、
のぞいてまわるだけでもたのしい催しです。

桐島かれんさんの「ハウス オブ ロータス」も、
このために制作をすすめたワンピースやシャツ、
バッグ、シューズ、小物類をはじめ、
世界各地で集めたすてきなものをたくさんそろえて
出展してくださいます。

世界のわくわくするものを東京に、
日本じゅうの魅力を世界の人びとに。

ぶらぶら見て買って食べておしゃべりして、
まざりあって遊ぶ5日間です。

みなさま、ぜひいらしてください

第4回 生活のたのしみ展

東京・丸の内

テーマ:東京と世界

2019年4月17日(水)~21日(日)

午前11時~20時
(丸の内仲通りのみ〜19時)

生活のたのしみ展について最新情報を見る

写真・濱田英明

桐島かれんさんの

ハウス オブ ロータス

ハウス オブ ロータスは、桐島かれんさんが、
さまざまな国を巡ってつちかった美意識や哲学を
「よそおう」「くらす」「もてなす」の3つの切り口で
表現していくライフクラフトブランドです。

青山、二子玉川、阪急うめだなど
全国に6店舗を展開。

オンラインショップもあります。

ハウス オブ ロータスWEBサイトへ