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永田 |
あの日は、荒川選手が勝って、
そのあと金メダルをもらってから
インタビューまでが
すーごく長かったですよね(笑)。 |
刈屋 |
長かったんですよぉ(笑)。 |
永田 |
20分くらいありましたかね?
もう、あそこは、実況ではなくて、
純粋に刈屋さんのおしゃべりが
たのしめましたけれども(笑)。 |
刈屋 |
国際映像があっという間に
なくなっちゃったんですよね。 |
永田 |
なんか、国旗とか、リンクとか、観客席とか、
どうでもいい画がずっと映ってるんですよね。 |
刈屋 |
実況しようにも映像がない(笑)。
放送が終わってから、
「荒川さんが日の丸を持って
ウイニングランしたらしいけど
NHKはなんでそれを中継しないんだ」って
ご意見をいただいたんですけれど、
ウイニングランはしていないんですよ。 |
永田 |
あ、やっぱりそうだったんですか。
でも、その後の雑誌とかには
日の丸をまとっている
荒川選手の写真がありましたけど。 |
刈屋 |
国旗を持って、記念撮影に応じてたんですよ。
ちょっと移動して記念撮影、
ちょっと移動して記念撮影、というふうに。
そのときに日の丸と花束を持っていたので
そのときに撮った写真が
ウイニング・ランのように写ってるんです。 |
永田 |
ああ、そういうことでしたか。
たしかに、「記念撮影に応じてます」
というようなことはおっしゃってましたよね。 |
刈屋 |
はい。でも、けっきょく
話すことがないわけですよね(笑)。 |
永田 |
はははははは。
あと、なんとか状況を説明しようとして、
「いま、NBCのアナウンサーに
つかまってます!」
とか言っちゃって、そのあとで
「『つかまってる』という表現は
よくなかったですね‥‥」
とか、フォローされてたり(笑)。 |
刈屋 |
そうそうそう(笑)。
もっと、国際的な、大きな話を
マジメにすることも考えましたけど、
やっぱりあの興奮のなかですから、
荒川さんの話で持っていくしかないですよね。
なにしろ、いつインタビューがはじまるか
わからない状態でしたから。 |
永田 |
はい(笑)。 |
刈屋 |
だからもう、荒川選手についての
いろんな話をしてつないで。
アイスクリームの話までしてね(笑)。 |
永田 |
そうでしたそうでした(笑)。
荒川選手がアイスクリームが好きだという話。
あのあたりは、解説の佐藤さんも
けっこうノッて話されていて。 |
刈屋 |
そうですね、ノッてしゃべってました。 |
永田 |
あの、刈屋さんと佐藤さんのコンビというのは、
独特の間というか、絶妙のノリがありますよね。 |
刈屋 |
ああ、ありますね(笑)。 |
永田 |
けっこう、佐藤さんの相づちって、
少ないじゃないですか。
だから、中継を訊いている視聴者は
「わ、佐藤さん、またスルーだ」とか
けっこうヒヤヒヤしたりして(笑)。 |
刈屋 |
そうなんですよ(笑)。
でも、無視したりとか
そういうことではないんです。
音声だけ聞いてると
「あれ?」という感じのときは、
ふたりで目を合わせたり、
笑ったりしてることが多いんです。 |
永田 |
ああー、そうなんだ(笑)。
あの、中継を聞いていると、
「このふたりはずっとこうだから大丈夫だ」
と知ってはいるものの、
佐藤さんのスルーが続くと、
「‥‥ほんとに大丈夫?」って(笑)。 |
刈屋 |
佐藤さんの解説が冷静だから、
よけいにそう思っちゃうんでしょうね。
でも、あの、たとえば、
カナダのロシェットという選手が
『愛の賛歌』で滑ったときには、
佐藤さんは、いきなり
「この歌は刈屋さんの好きな曲なんですよね」
って言ってきたりしたんですよ。 |
永田 |
そのメール、たくさん来てました(笑)。 |
刈屋 |
しかもそのとき、思わず横を見たら、
ニコッて笑って、
(右手の親指を上に突き出しながら)
こうやったんです。 |
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永田 |
そんなことしてたんだ(笑)。
それは視聴者にはわからないですね。
そこは、刈屋さんがスルーしていたと
メールにはありましたけど。 |
刈屋 |
いえ、反応しようと思ったんですけど、
演技がちょうどクライマックスに
入るところだったんです。
それで、邪魔しちゃいけないと思って
黙ってたんですよ。 |
永田 |
なるほど(笑)。 |
刈屋 |
選手の演技のクライマックスで
個人的な話をするのも‥‥。 |
永田 |
(笑)。
ふだんはないですよね、
佐藤さんが演技中に
余談みたいなことを話されることは。 |
刈屋 |
めずらしいですよ。
だから、「やられた!」と思いましたよね。 |
永田 |
長くごいっしょされてる
おふたりならではのエピソードですね。
そういえば、エキシビションの中継では、
これも長くごいっしょされている
五十嵐さんとのコンビでしたけれども、
いいメールが届いていたんですよ。
あの、エキシビションって、
ふだんの照明じゃなくて、会場が暗くて、
選手がスポットライトで照らされてますよね。
そこで、五十嵐さんがまず、
「こういうスポットライトの中で跳ぶのは、
たいへんむずかしいことなんですよ」
ということを言うと、刈屋さんが
「ああ! そうなんですか」と返す。
すると五十嵐さんが
「ふだん何度も何度も
練習しているからこそ跳べるんです」と。
それを聞いて、刈屋さんが
「なるほどー」と相づちを打つ。
メールの報告では、こういうやり取りを、
おふたりは、エキシビションがあるたびに
毎回やってくれるんですよ、というものでして。 |
刈屋 |
あははははは! |
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永田 |
それはすごく素敵なことだなあと思ったんですよ。
やっぱりエキシビションって、
フィギュアファン以外は
はじめて観る人が多いわけですよね。
そのときに、それを初めて聞いたかのように
いちばんわかりやすいやりとりで説明してくれる。
それをおふたりが阿吽の呼吸で
やってらっしゃるというのがいいなあと思って。 |
刈屋 |
そうですね、はじめて観る人もいますからね。
とりあえずはまず、
そういうところから入って。
‥‥いやあ、でも、まいったなあ(笑) |