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永田 |
カーリングというスポーツは
特殊ですよね、ほんとうに。 |
刈屋 |
特殊ですね。 |
永田 |
実況の声より選手の声のほうが
大きくなる瞬間があるし、
選手が囁いているところでは
なんとかそれを聞きとりたいと思うし、
ルールはルールで説明してほしいし。
実際に実況するには、
そうとう難しかったんじゃないでしょうか。 |
刈屋 |
難しいですけど、おもしろいですね。
2時間半ってけっこう長いのかなと思っていたら
放送したら、あっという間ですしね。 |
永田 |
そうですね。観ていると、短い。
エンドで区切られていることもあるし、
なんというか、テレビ向けなんですよね。
とくに日本人が好む、テレビ向けのスポーツ。
エンドがあって、予想と期待ができて、
選手が期待どおりにやってくれたときの
「すごい!」っていうよろこびがある。
野球に近いかたちのスポーツというか。 |
刈屋 |
そうですね、野球に近いですよね。 |
永田 |
観戦しながらルールがだんだん
わかっていくというたのしさもあったし。
小林さんの解説もすごくわかりやすくて。 |
刈屋 |
はい。よかったですよね、小林さんの解説は。
ぼくもずいぶん勉強になりました。 |
永田 |
あの、フィギュアの中継のときなんかは、
たとえば刈屋さんが
「これは2回転ですよね?」
と佐藤さんに質問するときは
刈屋さんは、ほんとうは
わかっているんだろうなという
感じがあるんですけど‥‥。 |
刈屋 |
カーリングは「どっちですか?」って
本気で聞いてました(笑)。 |
永田 |
そんな感じでしたよね(笑)。
観るほうとしては、そのあたりに
妙な感情移入ができるんですよね。
「これは‥‥ミスですよね?」
と刈屋さんがちょっと不安げに確認するのが。 |
刈屋 |
そうそう(笑)。
「これは、狙ってるんです‥‥か?」みたいなね。
で、「いやいや、ミスですよ」と言われて
「ああ、そうですよね!」みたいなね(笑)。 |
永田 |
小林さんの答えも
「Aプランとしては失敗だけれども
Bプランとしてなら成功」
というようなことがあったりだとか。 |
刈屋 |
そうそう、そうなんですよ。
だからぼくもほんとうに
あれをやりながら勉強しましたね。 |
永田 |
それはもう、視聴者としては
すごくありがたかったところだと思いますし、
日本でカーリングがブレイクした
要因になったと思いますけど。 |
刈屋 |
ぼくも帰ってきたら、そう言われました。
あれですごく勉強になったって(笑)。
そうすると、つぎからその知識が活きるから
どんどん観ていておもしろくなるって。 |
永田 |
スポーツって、どれもそうだと思うんですけど、
ルールや見方をちょっとずつ
学んでいくかというとそんなことはなくて、
どっかの一回の経験で、
かたまりとしてガッと情報を受け取って、
そのスポーツに入っていくんだと思うんですね。 |
刈屋 |
はいはい。 |
永田 |
だから、その一回の情報が
なんなのかということがすごく重要で、
そこが刈屋さんの人気の理由というか、
刈屋さんの実況だとひじょうにありがたい部分で。
一回で情報のかたまりを
すっと受け取ることができて
つぎは違う視点から観ることができる。
それが刈屋さんの実況だなと思うんです。 |
刈屋 |
そう言っていただけると
とてもうれしいですね。 |
永田 |
実際、カーリングそのものの人気も高まって、
都内のスケートリンクのカーリングコースが
予約でいっぱいになったと聞きました。 |
刈屋 |
観ているとやりたくなりますよね。
じつはぼくもこの間、
小林さんが個人的にやっている
山中湖まで家族で行って、
カーリングをやってきたんですよ。 |
永田 |
あ、そうなんですか(笑)! |
刈屋 |
でもね、ぜんぜん
思ったとおりに行かないんですよ(笑)。
投げると同時にゴローンって
ひっくり返っちゃったりして(笑)。
使わない筋肉を使ったもんだから
3日くらいあちこち痛くてたいへんでしたよ。 |
永田 |
(笑) |
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