みなさんほぼにちは! 天久です。
家庭遺産の時間がやってまいりました。
今回もその家庭ならではの
歴史と思い出の詰まった遺産を4点ご紹介いたいします。

期間限定の当企画も
残すところあと1回でございます。
最終締め切りは11月20日ですので、
遺産をお持ちの方はいますぐご応募を!
もれなく家庭遺産認定データをお送りいたします。
それでは早速、
素晴らしき遺産の世界へご案内いたしましょう!

僕が20歳ぐらいのときに、母の誕生日プレゼントにあげた
ロナウド(サッカー元ブラジル代表)の絵です。
なぜ母の似顔絵じゃなく、
ロナウドの似顔絵を描いたのかは覚えていません。
両親が引っ越すことになり、荷物を整理していると
押し入れの奥から出てきたらしいです。
僕の私物といっしょに、段ボールで送られてきました。

この髪型、ロナウドです。

所有者ネーム  森とんかつ

どう受けとめていいのか分かりませんが、
たしかに家庭遺産です!
なぜロナウドだったのか、
制作者ご自身が分からない以上、
私にも分かりません(笑)。
ロナウドがパイロット姿なのもよく分かりません。
二十歳の息子から
誕生日にこれをいただいた
お母さまのお気持ちを考えると複雑です。
お便りによりますと引越の際、
所有者さまの私物と一緒に送り返されたとのこと。
それがお母さまなりの解答だったのでしょうか。
なんとも宙ぶらりんな遺産ですが、
こういう意味不明な品にこそ、
家族のリアリティが宿っているような気がします。
年を重ねるごとに味わいを増す遺産だと思います。意地でも大切に保管してください。




このクリスタルは、シンガポール人の主人が子供の頃、
家の近くの小高い丘で一人で遊んでいた時に見つけ、
ダイヤモンドだと思って掘り出して、
自転車の荷台にくくりつけて
家に持ち帰ったものだそうです。
自転車を漕ぎながら
「これで大金持ちになれる、
欲しいおもちゃもなんでも買えるんだ」
と、夢を膨らませながら。
家族にこれはダイヤモンドじゃないと言われても、
削ったら中からダイヤが出てくるかもしれないと、
のみとかなづちでコンコンと削ってみたけれど
疲れてそのうちあきらめて、そのまま庭の石となり、
40年以上が経ち半分埋れかかっていたのを
私が見つけました。
主人からそんないきさつをきき、
愛着が湧いたのて掘り出して洗浄し、
漂白してみたら削った跡らしきところにに
小さなレインボーが出ていました。
時々、月の光や日光に当てたり,雷にあてたりして
パワーストーンとして、大切に飾っています。


所有者ネーム いづみ

じつに美しい家庭遺産です。
ご主人のエピソードがたいへん可愛らしく、
それを訊いた所有者さまが
キュンとなった気持ちがよく分かります。
削ったあとの小さな虹がいいですね。
どんな宝石にも出せない輝きではないでしょうか。
これからも末永く、大切に飾ってください。




実家を出てから20年。
昔はこんなスペースがあったのかも覚えていませんが、
何年か前から少しづつ物が増え、
これは意図的に飾っているのではないのかと思い、
父に確認すると「ギャラリーだ!」
と嬉しそうに答えてくれました。
特にコレ! というよりは集まった結果、
不穏なグルーヴが出ていると思います。
実家に帰るとまずは仏壇に手を合わせ、
横のギャラリーを観るのが恒例になりました。

所有者ネーム 工藤ひとみ

なんともカオスな家庭遺跡です。
偶然だと思いますが、画像を開いた瞬間
ハードディスクが奇妙な音を立て始めました。
でもどこか懐かしい。
子供のころ泊まった親戚の仏間で、
恐る恐る床の間の怪しげな置物を眺めた気分が
フラッシュバックしました。
世のお父さんは一定の年齢を超えると、
家庭内にギャラリーをつくる生き物なのかもしれません。
今後この異次元がどのような増殖をみせるか、
実家に帰る楽しみが増えたのではないでしょうか。


美大生だった弟が描いた血族の肖像です。
何か強烈な違和感を感じられると思いますが、
これは皆ストッキングをかぶった顔です。
 
当時「繋がり」をテーマに作品を作り続けていた弟が、
家族・親戚の繋がりを表現するため、
そのキャンバス自体をさらにストッキングで包み、
伸ばして繋げて展示するという荒業をやってのけた
大胆な作品群なのです。


 
メンバーは弟がふらりと帰ってきたときに捕まった
幸運な血縁者たち。
ちなみに姉である投稿者は
当時離れて暮らしていたため難を逃れました。
 
ストッキングを差し出し写真を撮らせてくれと迫る弟に、
年頃のいとこや妹達が恥らって逃げ回るなか、
祖母(父方)はまだ頼んでないのに
自前のストッキングを被ってスタンバイしていたそうです。
弟、ばあちゃんっ子でしたから。
真面目な祖母は愛する弟のため完全協力体勢でした。
 
二人の祖母は数年前すでに他界しましたが、
この肖像画はアルバムを見てるより
楽しくなってしまという宝物です。
 
・・・とはいえでかくて数も多いし、
遺影代わりに飾ってたのに猫がマーキングしたりするので
現在は押入れに眠っている我が家の家庭遺産なのです。

所有者ネーム もももけ姫

大作であり、家族遺産です。
一般の批評眼で見ても
すごくハイレベルなアート作品ではないしょうか。
テーマ的にもモチーフ的にもまさに家庭遺産。
弟さんの発想もすごいですが、
それを嬉々として受け入れたおばあちゃん、
そしておばあちゃん亡き後も
これを遺影がわりに飾っていたというご家族、
すべてひっくるめて
その家風に感嘆してしまいます。
それにしても
全部飾ったときの迫力はすごいですね。
これがギャラリーではなく、
ソファの上というのも味わい深い。
貴重な遺産ありがとうございました!



いかがだったでしょうか?
ロナウド画とハイアートが同列で語られるのも
家庭遺産の懐の深さと言えるでしょう。
しかし、家庭遺産に優越はございません。
それぞれの家庭がそれぞれの理由で
保管してある思い出の品、それらはすべて家庭遺産です。
思わず噴き出してしまうエピソード、
じんわり胸が熱くなる思い出、
そうしたいろんな時間の連続が
家族の歴史をつくっていくのではないでしょうか。

残り僅かな募集期間、ぜひご自慢の遺産をご紹介ください。
よろしくお願いします。



2013-11-17-SUN