●第1エネルギーについて |
糸井 |
どういうことをするんですか、トレーニングは。 |
ケビン |
ぼくがやってるのは第1エネルギーというんです。
ぼくがつけた。第2第3エネルギーもありますけど
アクションが10〜12秒くらいあってフルにやるのが
第1エネルギーです。アクションは11秒以内だから
そう見れば野球もボクサーも同じスポーツですよ。
何ともいやなところで圧力があって
そこから力を出すというものです。
その観点で見ればおんなじプログラムでやれる。 |
糸井 |
ふーん、はじめてきいたわ。
マラソンとかは違うの? |
ケビン |
違いますね。ぼくは第1エネルギーだけなんです。 |
糸井 |
じゃあマラソンの仕事やれって言われたらだめ? |
ケビン |
そんなことないですよ、まあマラソンのうちの
最後のダッシュかけるところとかはできます。 |
糸井 |
(笑)そうだよね。こないだの
女子マラソンはトラックで抜かれたもんね。
どうしようもないところからの力の出しかたは
確かに格闘技ってそうだなあ。 |
ケビン |
そうでしょ?
立っているときに相手への圧力のかけかたとか。
たたかう前に「やばい」とか思うでしょ?
それがどうやって出るのかを考えるのが
ぼく好きなんです。得意なんです。 |
糸井 |
素人だからきくんですけど、
そんなことありうるんですか? |
ケビン |
当然です。生理学でやれることは粗いんです。
たとえば走る姿に迫力を受けるというのは
生理学的に言えば解析学です。
前に走るとすれば、X軸とY軸、前と上に行く
ふたつのモーションの組みあわせなんですよ。
ほかにもうひとつ軸つけると体積になるから
それはややこしいんでなしにします。
そのかけあわせたものをのばすのは簡単なんです。
あとはグッドラックなんです。 |
糸井 |
ピッチとストライドがわかればグッドラック。 |
●表現がうまいひと |
ケビン |
表現がうまいひと、いますよね。
清原さんはかなり表現がうまい。 |
糸井 |
そんなに素質のあるひとがなぜ? |
ケビン |
ライフスタイルです。ラスベガス。
マネー、レディー、セックス、エブリシング。 |
糸井 |
だめになる要素ばっかりが。
でも野球やるのもあと何年も何年もじゃないんだし、
もう1回くらい頑張っておわってもいいよね? |
ケビン |
カムバックはユニバースにいるひとなら
誰でも好きですからね。清原さんは最高ですよ。
目的意識は高いし能力もあるし、それで自分でも
感触を得ている、打てるようになってきている。
こないだバッティングセンターにためしに行って
笑って握手を求めてきてくれた。
「これこの13年経験したことなかった」って。
彼の言葉で言うと、ヘッドのまわりがよくて、
球の角度がいい。サウンズグッド。音がいいよ。 |
糸井 |
それは期待しますよ。 |
ケビン |
彼はひとつの動きをやりながら
すぐ表現できる。あれはすごい。頭いい。 |
糸井 |
「表現がうまい」? むつかしいなあ。 |
ケビン |
清原さんの表現のうまさは親がくれたものです。
俗に言うセンスがいいとかいうものですよ。
伸びた軸を動きに表現する能力の高いひとが
いるんです。それは上に行くひとは持っています。
それプラス、公とのコミュニケーションの
うまいひとがスターになるんですよね。 |
糸井 |
清原はパブリックとのコミュニケーションが
ちょっと上手じゃないっていうか(笑)。 |
ケビン |
まあ、いろんな意味で言って出てますから。
ホリフィールドよりもマイクタイソンのほうが
スター性あるわけで、それがお金に直結するから。 |
糸井 |
マイクタイソンは表現力あります(笑)。 |
ケビン |
ぼくらは動かす筋肉にチューブつけるんです。 |
糸井 |
そこに負荷を? |
ケビン |
負荷というより感じさせるんですよね。
それで短い時間に100パーセント動かしてもらう。
今まで行った事の無い世界で
回転数が伸びているので、
全体が速くなるに決まってるんです。
それをやってもらうのですが、
でも、30分たてば忘れますよね。 |
糸井 |
それは当然なんですか? |
ケビン |
いい選手は忘れないですよね、あんまり。
あとはプレッシャーあると動きを忘れるとか。
彼の今まで10年間やってこられた動きに
くりかえしをして神経系に足していくわけです。
ひとつの軸がのびたとしても
表現が足りないとできない。 |
(つづく) |