通常であれば、キイロスッポンタケの頭部は、
グレバと言うすごい悪臭がする暗緑色の粘液で、
びっしりと覆われているんです。
この粘液の中には胞子が混じっており、
悪臭で引き寄せた虫たちの体に胞子をくっつけて、
広範囲に拡散させるという作戦なんですね。
ところが、この写真のキイロスッポンタケは、
ぷにぷにの「卵」から子実体が伸びてきたところを、
いきなり大雨に見舞われてしまったので、
グレバがすべて洗い流されてしまったというわけ。
(ああ、次世代に命をつなぐ大事な胞子が……)
発生したばかりのキイロスッポンタケが、
これほどまでピッカピカできれいなのは、
ほとんど見たことがありません。
で、まあ、この、
奇跡的なまでにきれいなキイロスッポンタケを、
そのままきれいに撮影したいなあ、と思ったんです。
いざ、バッグから取り出したカメラは……。
実は、コンパクトデジタルカメラ!
どうです、この写真。
きのこ全体にピントが合っているし、
生えているコケの質感はもちろん、
背景の森の雰囲気もばっちり。
コンパクトデジタルカメラ、恐るべし、でしょ。
カメラとしての使い勝手は、
通常の一眼レフカメラに軍配が上がりますが、
小さなきのこを「きのこ目線」で撮影したければ、
小さなカメラを使うのもひとつの方法です。
さて。
キイロスッポンタケは、夏に、
各種腐朽木から発生します。
幼菌は卵形で白くてゼリーのような感触。
それを突き破って、子実体が伸びてきます。
頭部は黄色〜鮮黄色で不規則な網目状。
その上に臭い臭いグレバが付着してます。
柄は白〜黄色で円柱形、長さは10cmくらい。
中空で表面には網目模様があります。
食用で知られているキヌガサタケの仲間なので、
それと同じく人によっては柄を食べるようですが、
ぼくは、まったくおススメできません。
だって、どんなに丁寧に洗っても、
グレバの匂いが取れないんだもん……。
キイロスッポンタケは過去にもご紹介してます。
ウンチクなどは、どうぞこちらもご覧あれ。
そして、そして、すみません……。
ちょっとだけ、宣伝させてください。
ぼくの5冊目の著書となる、
『森のきのこ、きのこの森(玄光社)』
が、2016年10月24日に発売されます。
(144ページ、税別定価2000円)
ほぼA4くらいの、けっこう大きいサイズで、
大小合わせて150枚以上の写真を載せました。
きのこと森の雰囲気をじっくりお楽しみいただけるかと。
ぼくが大好きな、コウバイタケの表紙が目印です。
(このキイロスッポンタケの写真も掲載!)
どうぞよろしくお願いします。