森の一角にある小さな沼地のほとりは、
一面草地になっていて、夏から秋にかけて、
緑の間から大小さまざまなきのこが顔を出します。
ふと気づくと、きのこを踏みつけていることがあり、
ああ注意して歩かなければ! と思うのですが、
草なら踏んでもいいのか、と思ったりもするわけで、
自分の中の、整合性というか、判断の拠り所というか、
いろいろと難しい問題ですよね……。
特に、阿寒湖周辺に広がる森のように、
遊歩道が整備されてないような場所では、
森を歩くということは、植物やら何やら、
いろいろな生物を踏みつけているのはもちろん、
時には命を奪っていることだってあるはず……。
とは言いつつも、緑の絨毯の中に、
オレンジが鮮やかなベニナギナタタケを見つけるや、
迷わず駆け寄って、腹ばいになって、
いろいろな角度から眺め回してしまうわけで……。
押しつぶされた草やコケや目に入らない生物たちには、
申し訳ありません、と言うしかありません……(笑)。
ベニナギナタタケは、夏から秋にかけて、
主に腐植土の上から発生します。
長さは5〜15cm、厚さ1〜2.5cmほどで、
枝分かれをしない細長い形をしています。
色は赤桃色〜緋色、
手触りは平滑で中実(一部中空)。
後から、子実体の真ん中に溝を生じます。
一応、可食とされていますが、
味も香りもほとんどなく、いわば、
毒はないけどその気になれば食べられる、
という類のきのこだと言えましょう。
このきのこが食べられると認識されているためか、
昨今、特に関西地方などで猛威を奮っている、
猛毒きのこのカエンタケを間違えて食べちゃう人が、
ちらほら見られるようです。
カエンタケを食べてしまった場合、
命に関わることは間違いなく、運良く助かったとしても、
脳などに後遺症が残る場合が多いとか。
十分、お気をつけあれ。
カエンタケはずんぐりのつやつや系、
ベニナギナタタケはひょろひょろのさらさら系なので、
大きな違いがあるように思えるんですけどねえ……。
読者の皆さまにおかれましては、
ぜひ、一度、インターネットでググるなどして、
禍々しいまでのカエンタケの姿をご覧いただき、
以後、その手のきのこは絶対に食べないよう、
ご留意いただきたく存じます。