森へ入ると、視覚、聴覚、嗅覚、
触覚、あるいは、皮膚感覚などなど、
あらゆる感覚がすごく敏感になります。
ご飯だっておいしく感じるから、
味覚だって敏感になっているのかも!
くまさんが近くにいるかもしれないという恐怖と、
森のいろいろなものをもっと見たいという好奇心、
どちらが勝つかは、その瞬間、瞬間に、
見て、聞いて、嗅いで、集めた「森の情報」を、
経験値を加味しつついかに判断するかで変わります。
くまさんの足跡とか糞とか遊んだ跡があれば即退散。
くまさんは、匂いもすごく強烈で、
数か月洗ってない柴犬の比ではなく、
数か月洗ってない柴犬の小屋の敷物(粗相あり)より、
さらに数倍は臭いと言っても過言ではありません。
もちろん、くまさんの匂いがしたら即退散です。
(くまさんの体臭は一度嗅げば絶対に忘れません!)
ただ、くまさんは、歩くとき音を立てないので、
ぼくの聴覚ではまったく太刀打ちできません。
枯葉を踏む音や木の枝が折れる音がした場合は、
ほとんどが、シカやキツネなどの仕業です。
まあ、こういう、
ぴりぴりするくらいの緊張感がたまらない、
という、ちょっとM的な感覚も相まって、
阿寒の森へ行くのがやめられないんですよね。
阿寒には、くまさんみたいに、
あんなに大きな動物が何頭も生きていけるほどの、
素晴らしい自然があるってことですから。
そんなわけで、森では、視覚も、嗅覚も、
いい意味で緊張感を伴って高感度になっているので、
きのこの発見に、一役も二役も買っています。
さて。
ヤグラタケは、小さなきのこですが、
幼菌時には白いのでけっこう目立ちます。
それよりも、臭いんです。
おそらく、ヤグラタケが臭いのではなく、
ヤグラタケに寄生されて腐っていくきのこが、
悪臭を放っているものと思われます。
今回は、森を歩いていて、
むむむ、臭う!と、木の裏側をチェックしたら、
きのこから発生しているきのこを発見。
つまり、鼻で見つけました!
ヤグラタケは、夏から秋にかけて、
クロハツなどベニタケ科のきのこから発生。
きのこを「食べる」きのこです。
傘の直径は1〜4cmくらい、高さは2〜4cm。
球形〜半球形〜まんじゅう形に開きます。
白灰色の表面は、成長するに従って、
中心部から徐々に茶褐色の粉に覆われていきます。
(この粉の正体は胞子なんです!)
食毒はまだわかってないようですが、
この匂いを嗅いだだけでも食欲減退間違い無し。
小さいし、それほど数が確保できるわけでもなし、
食べるにはまったく値しないでしょう。
親亀の上の子亀のごとく、
きのこの上のきのこという稀有な形状を、
こころゆくまで観察しようではありませんか!
人とくまさんの事故は、お互いを不幸にします。
くまさん出没地帯へ出かける場合には、
事前の出没情報をチェックしつつ、
鈴(あるいはラジオなど)と、撃退スプレーは、
必ず携帯するようにしましょう。