おそらく、まだ、少なくない人が、
天然のきのこは秋に発生するものが多い、
と、認識しているのではないかと思います。
確かに「きのこ」は秋の季語ですし、
マツタケやホンシメジやマイタケなど、
日本を代表するような天然の食菌も、
秋に発生するものが多いので、
まあ、仕方ありません。
きのこは1年中発生しているので、
その気になれば、春夏秋冬、どの季節でも、
天然のきのこを見ることができます!
と説明すると、びっくりする人もいますな。
もちろん、冬に発生するきのこは、
それほど多くはありません。
何より、雪が積もっていたり、寒かったりすると、
普通の人は、森へ行ってきのこを探そう!
という気にはなかなかなれませんよね(笑)。
とはいえ、多くのきのこファンも、
冬でもきのこは生えていると認識しつつ、
やはり春がやってくるのを心待ちにしています。
暦で、立春と言っても、まだ2月だし、寒いし、
全然春っぽくないと思われるかもしれませんが、
きのこファンは、わくわくしています。
そう、春を告げるきのこ、
アミガサタケが発生し始めるのが、
丁度この頃からなんですよ。
今回ご紹介するのは、アミガサタケの仲間、
オオトガリアミガサタケです。
アミガサタケの仲間は、子嚢(しのう)菌なので、
いわゆるきのこっぽい形をしていません。
卵形〜円錐形っぽい形で黄褐色〜帯赤褐色の頭部と、
白〜淡黄褐色の太くてザラザラした柄を持つのが、
共通した特徴です。
頭部にはいくつもの穴があいていますが、
成熟すると、そこで胞子が形成され、放出されます。
縦に真っ二つに切ってみると、てっぺんから柄まで、
内側はひとつながりの空間になっています。
オオトガリアミガサタケは、
その名の通り、カサが網状で尖っていて、
高さは、軽く10cmオーバー。
そこそこ大きなきのこです。
それにしても、まあ、なんて素敵な形状。
(こんな形のアイスクリームがありますよね!)
ところで、きのこファンは、なぜ、
アミガサタケの発生を心待ちにしているのでしょう?
ふっふっふ、愚問を……。
もちろん、おいしいから!
欧米ではモリーユと呼ばれる高級食材なんです。
ただし、生食は厳禁。
アルコールとの相性もあまりよくないようです。
食べる場合にはどうぞご注意あれ。
ちなみに、
この写真は阿寒ではなく群馬県で4月に撮影しました。
春を告げるきのこと言われるアミガサタケの仲間ですが、
阿寒湖周辺では7月中旬くらいまで見ることができます。