北海道の東部に位置する阿寒湖の周辺には、
トドマツやアカエゾマツなどの針葉樹と、
ミズナラやナナカマドといった広葉樹が入り混じった、
針広混交林と言われる広大な森が広がっています。
トドマツやアカエゾマツは、
北海道にお住まいの方以外には、
あまりなじみがない樹木かもしれません。
トドマツは、自然林、人工林ともに、
北海道で最大の森林面積を誇ります。
アカエゾマツは北海道の北部や東部で多く、
高級な楽器や家具の材として知られています。
湿原周辺や岩礫地では、単独種で森を形成する、
純林が見られることがあるのですが、
雌阿寒岳の麓でも見ることができます。
湿原周辺、そして、岩礫地というのは、
樹木が成長するにはけっこう厳しい環境ですが、
アカエゾマツは、逆境に負けずに、
しっかりと生きているんですねえ。
(他の植物には毒の硫黄にも強いとか)
小さな沢の流れの中でもすっくと生えていたり、
大きな岩の上でバランスよく成長していたり……。
すごいぞ、アカエゾマツ!
さて。
この写真を撮影したのは、その、
雌阿寒岳の麓に広がるアカエゾマツの純林です。
そのポイントでは小さな沢が幾筋にも分かれて流れ、
ミズバショウの群落があちこちに。
まるで湿地!
歩き回っていると、
朽ちたアカエゾマツの根株に、
小さな白いきのこを発見。
オトメノカサです。
オトメノカサは、夏から秋にかけて、
トドマツやエゾマツなど針葉樹の地面から発生します。
傘の直径は2~5cm、高さは3~4cmほど。
全体的に白いのですが、やや濃い色のシミがあったり、
土や落葉で汚れていたりと、
完全に純白な個体はまずありません。
傘はまんじゅう形で真ん中がやや盛り上がり、
成長するとほとんど平らに開きます。
ヒダが柄の下の方に向かって長く伸びているのも、
大きな特徴のひとつと言えるでしょう。
柄は下に行くほど細くなっています。
小さいですが、やや群生する傾向があるので、
そこそこの数を確保できるかもしれませんが、
味や香りなどにそれほど特徴があるわけではなく、
食用のきのこですが料理の主役にはなれないかと……。
名前も姿もかわいいきのこなので、
森で見つけたら、ついつい嬉しくて、
写真をたくさん撮ってしまいます。
おいしいことだけがきのこの魅力ではないと、
もっと多くの人に気づいてほしいなあ。