北海道の道東地方のように、
人口が少なくて野山や森ばかりの所を訪れると、
「何もない……」と感じる人が、
もしかしたら、少なくないかもしれません。
そういうぼくも、
東京や大阪から阿寒湖へやってくる友人知人に、
見渡すかぎり人工物がまったく見えないでしょ!
と、大いに自慢をします。
空や、海や、大陸などと同じく、生物も、
地球を構成する大きな要素のひとつだと考えるとき、
人間は、はたして、他の生物と同じ枠組みなのか?
それともまったく別の枠組みになるのか?
(人間は特別だ!という考え方もありますな)
なかなか難問です。
でもまあ、人間だって地球生物の一種だから、
つまり、それは、自然の一部なわけで、
そういう意味では人間がつくりだしたものも、
自然の一部だと言えそうです。
ただし、個人の自然観の違いとか、
いわゆる「自然」という言葉の定義にも関わるので、
やっぱり答えはなかなか見つかりそうにありません。
さて。
森を歩いていて、
地面からきのこがひょっこり生えていると、
これが、すぐに、目につくわけで。
何もない、と思ったけど、きのこが生えていた。
自分の周りには木がたくさん生えているし、
草花だって、コケだって、シダだって生えている。
何もないどころか、ありすぎる!
という感じで思考を進めていただけると、
阿寒湖に住む者としてはすごく嬉しゅうございます。
今回ご紹介するアマタケは、
夏から秋にかけて、広葉樹の落ち葉から発生。
肌色〜肉色の傘の直径は1〜4cmくらいで、
はじめまんじゅう形、やがて平らに開きます。
肌色〜帯褐色の柄は長さ3〜9cmくらいで、中空。
白くて柔らかい毛に覆われています。
数本〜十数本でひとつの株を形成すること、
それが群生して菌輪をつくりだすこともしばしば。
地味なようで、けっこう目立つきのこです。
一応、食菌だと言われています。
アマタケは漢字で「甘茸」と書き、
食べるとやや甘さを感じるそうですが、
おいしいという話はあまり聞いたことがありません。
枯れ木も山の賑わい的食べ方ならいいかも(笑)。
食用としてはオススメしません。
人間がつくるものは、
こうすればああなる的な目的を持っていますから、
デザインはいいけど使い勝手が悪いとか、
いろいろな評価がなされると思いますが、
自然がつくったものは、
そういう意味で非の打ち所がありません。
それぞれが自分勝手に存在しているようで、
全体としてバランスがとれているなんで、
システムとしても素晴らしいですよね。
自然に学ぶことは尽きることがありません。