コウジタケの「コウジ」は、もちろん「麹」のこと。
麹は蒸した米や麦や大豆などに麹菌を繁殖させたもので、
醤油や味噌やお酒など、醸造食品の主原料ですな。
味の決め手と行っても過言ではありません。
日本国語大辞典によると「こうじ」は、
「かんだち」つまり「かび発ち」が語源で、
(古くは「かむだち」と表記)、
「かむち」そして「こうじ」と変化してきたようです。
醤油や味噌や日本酒をつくるのに使われるのは黄麹菌。
焼酎をつくるには白麹菌、泡盛には黒麹菌が使われます。
そう、焼酎は、同じ銘柄でも、
白麹菌を使ったものと、黒麹菌を使ったもの、
それぞれが商品化されている場合もありますよね。
黄麹菌、白麹菌、黒麹菌などと呼ばれる所以は、
それぞれの胞子の色の違いです。
黄麹菌は黄色っぽく、黒麹菌は黒っぽい色をしています。
白麹菌は白じゃなくてやや褐色なんですけど(笑)。
さて。
コウジタケは、なにゆえ、
コウジの名前がつけられたのか?
それは、おそらく、香りではないかと。
匂いをかいでみると全体的にどことなく、
甘酒っぽいような香りがするんです。
(あまり匂わない個体もあります)
コウジタケは、夏の盛りに、
ミズナラなど主に広葉樹の樹下に発生します。
赤褐色〜血紅色の傘は、直径4〜7cmくらい。
表面はビロード状で、しばしば細かくひび割れます。
イグチの仲間なので、傘の裏側はヒダではなく管孔。
全体的に黄色で、よく見ると孔は角形です。
触ったり傷つけたりすると青く色が変わります。
柄の表面は黄色の地に赤い条線があるのですが、
全体的に濃い赤色になっていることもしばしば。
全体の高さは5〜10cmくらいです。
派手なきのこですが、一応、食べられます。
柔らかくて歯ざわりがいいけど、
どうやら味はイマイチだとか。
同定に自身がある方は、どんな味がするのか、
チャレンジしてみてもよいかと。
ちなみに、
「麹」の他に「糀」という漢字もありますが、
これは、米から発生するコウジカビが、
まるで花が咲くように見える、
と、明治時代に日本でつくられた国字なんですね。
主に米麹のことを表します。
さて、今宵の晩酌は、白、黒、黄色、
どの麹をつかったお酒をいただこうかなあ……。