ぼくは、つい最近まで、長い間ずっと、
セミは短命だと思い込んでいたのですが、
実際は、昆虫の中でも相当長生きの部類なんですよね。
皆さんもご存知のように、少なくても幼虫時代は、
地中で3年〜17年!も生きているわけで。
長生きじゃん!
地下で過ごす幼虫時代は長いけど、
地上に出てきたらわずか1週間の命……。
つまり、下積み生活を終え、
日の目を見てからはそう長く生きられない、
というイメージを持っていたのですが、
これまたまったくの間違いで、
地上でも3週間〜2か月くらい生きるのだとか。
オノレの不見識を嘆くばかりです。
ええと、きのこの話なのに、
セミの話ばかりしておりますが、
今回ご紹介するきのこに、
これがいかにつながるかと申しますと、
すみません、それほど強い関連はありません……。
ハナヤスリタケは、
いわゆる冬虫夏草なのですが、
昆虫ではなくツチダンゴというきのこに寄生します。
これを、菌生型といいます。
ハナヤスリタケの仲間は、まれに、
セミの幼虫からも発生することがあるのですが、
セミの幼虫も、菌根菌であるツチダンゴも、
地中での生活は木の根っこに依存しています。
つまり、ハナヤスリタケの仲間は、
セミの幼虫からツチダンゴへ宿主を乗り換えた、
と考えることもできるのだとか。
木の根っこつながり同士ってことです。
(話もちょっとつながった!)
ハナヤスリタケは、関西地方などでは春に、
東北地方より北では秋に地面から発生します。
頭部は暗いオリーブ色〜黒っぽい棍棒形で、
冬虫夏草にほぼ共通した特徴として、
思いっきりツブツブ、ブツブツしています。
全長は3〜15cmくらい。
柄の部分は円柱状になっています。
ちょっと掘って地下部分を見てみると、
褐色で細かく枝分かれした「筋」が、
宿主であるツチダンゴにつながっています。
採取する場合はけっこう大変です。
食毒不明。
ちなみに、ツチダンゴは、食不適。
とても変わったきのこなので、
じっくり観察させてもらいましょう。
北海道で見られるセミの多くに、
エゾハルゼミ、エゾゼミ、コエゾゼミ、
など「エゾ」という名前が付けられてますが、
北海道のみに生息しているわけではありません。
それはそうと、
カエルの鳴き声ともヒグラシの声ともつかぬ、
エゾハルゼミの鳴き声が聞こえ始めると、
ああ、今年もまた夏の始まりだなあ、
きのこシーズン本番だなあ、
と思うわけでございます。