ノボリリュウタケは以前ご紹介しておりますが、
今回のきのこは、その黒いバージョン。
その名もクロノボリリュウタケでございます。
「昇り龍(竜)」と言えば、縁起物。
もう、イケイケの怖いものなし、です。
日本画の題材としても古来より愛されています。
狩野探幽、曾我蕭白、円山応挙、葛飾北斎などなど、
数多の絵師が、数多の傑作を手がけていますが、
ぼくが一番好きなのは、海北友松の各種雲龍図です。
2017年4月〜5月に、京都国立博物館で開催された、
海北友松の特別展覧会は本当に素晴らしかった。
な、なんと、見渡す限り龍図だけのコーナーも!
今思いだすだけで、ご飯3杯くらいは、
軽く食べることができます(笑)。
また、京都をそぞろに歩いていて、何の気なしに、
ふらっと立ち寄った禅寺の法堂(はっとう)の天井に、
迫力ある龍の絵を見つけると、これぞ旅の醍醐味!と、
ついつい嬉しくなってしまうのですね、これが。
龍は仏教を守護する神さまでもあります。
「龍」と聞くと、ぼくは、すぐさま、
前述した巨匠たちの墨絵を思い浮かべてしまうので、
ノボリリュウタケよりもクロノボリリュウタケの方が、
いわゆるひとつの一般的な龍のイメージに、
近いような気がしないでもないのですが、
そもそも、このきのこの形をして、
なぜ昇り龍の名がつけられたのかが、
いまひとつはっきりせず、
多少もやもやしたものが心に渦巻くのです、はい。
さて。
クロノボリリュウタケ、
あるいは、クロノボリリュウは、
(最近の日本語表記では「タケ」が無いとも)
秋に、トドマツなど針葉樹の林地で発生します。
頭部は茶褐色〜黒で、幅は2〜5cmくらい。
ゆがんだ鞍形、あるいは、不規則な形をしています。
柄は淡い黒色を帯びた白色。
全体的に深くえぐれた縦の溝があり、
長さは2〜14cm、経は1〜2cmほどです。
我が愛用する『北海道のキノコ』は、
可食と掲載しているのですが、
他の図鑑はほぼ食不適となっているので、
多数決ということで、食不適、
の判定をさせていただきます。
食べた方もけっこういるようですが、
味も香りもないとのこと。
食べるには値しないきのこですな。
英語のドラゴン(Dragon)の訳語は、
「龍(竜)」とされていますが、実は、
西洋のドラゴンと、東洋の龍は別物なんですよね。
そういえば、ドラゴンには羽が生えていますが、
龍には生えてませんよね……。