普段の生活では実感に乏しいかもしれませんが、
われわれの生活は重力によって支配されている、
と言っても過言ではありません。
いやいや、重力は、われわれの生活どころか、
この宇宙をも支配していると言えますな。
しかしながら、重力については、
現代科学をもってしても解明されてないことが多く、
重力を知ることは宇宙を知ること、ってな感じで、
数多の科学者が謎に挑み続けています。
アインシュタインに続く大きな成果が得られるのを、
楽しみに待ちたいと思います。
とはいえ、
ぼくが重力を意識することがあるとしたら、
海やプールで長時間泳いだあと、
水から上がるときの抵抗感くらい……。
と、思いきや、そうそう、
実は、写真を撮影するときには、
無意識のうちに重力を意識しているんです(笑)。
今回ご紹介するツリガネタケの写真を撮影したのは、
阿寒湖の最東端部の湖岸です。
横たわる枯木に10個以上のツリガネタケを発見。
きのこだけアップに撮影しても面白くないので、
朝霧が晴れて見えてきた小島(岩)も構図に入れます。
そこで意識したのが、水平であること。
最近のカメラには水準器が内蔵されているので、
簡単に、正確に、水平をとることができます。
水平線が曲がって写っていると、
なんか、気持ち悪い写真になるんですよ。
アイドルのポートレイトとか、
意識してずらして撮影する場合は別ですけど。
で、ふと、水平とは何かと考えたら、
これ、上から下への重力の方向を、
しっかりまっすぐ表すことなんですよね。
(重力の方向と直角になるのが水平!)
知られざる、写真と重力の関係(笑)。
そして、そして、なんと、
ツリガネタケも重力を意識しているんです!
子実体は常に重力が向かう方向である下側、
つまり、地球の中心に向かって成長し、
下部の平らな部分を水平に保ちます。
その心は、胞子を効率的に散布するためです。
すげえなあ、きのこ。
ほんと、感心しちゃいます。
さて。
ツリガネタケは、生きた木、枯木を問わず、
広葉樹から発生します。
サルノコシカケの仲間によくあるように、
多年生で年々大きく成長していくので、
1年中いつでも見ることができます。
径20〜50cm、厚さ10〜20cmで、
大きな蹄のような形のものと、
直径3〜5cmほどで釣り鐘形をしているもの、
大小2種類のタイプがあるとされています。
表面は灰色〜灰黄褐色で、
環紋、環溝を持つという特徴は両者共通です。
食不適。
触ってみればあまりの硬さに、
食用はありえないと実感することでしょう。
真冬の雪景色の中でもきのこが見たい、
という熱烈なきのこファンにとっては、
ありがたい存在です(笑)。
ちなみに、文化的なツリガネタケトリビアは、
こちらをご覧くださいませ。