とある夏の終わり頃。
湖沿いの森で、まるで菌輪をつくるかのように、
オオウスムラサキフウセンタケの幼菌が、
たくさん発生しているのを見つけました。
きのこファンならずとも、
この愛くるしいルックスを見れば、
「かわいい!!」
と、思わず声を上げてしまうのではないかと。
手前に写っているきのこをよく見ると、
すぐにも何かのキャラクターに使えそうです。
傘を頭部に見立てて顔を書き入れたら、
もうそれだけで、ゆるキャラ一丁上がり。
人間を含む動物の赤ちゃんに見られる、
頭でっかちな体形とか、手足が短いとか、
目が大きいなどの身体的特徴のことを、
オーストリアの動物行動学者コンラット・ローレンツは、
「ベビースキーマ」と名付けました。
ベビースキーマに当てはまるものを見ると、
人間は、本能的に、かわいい! と感じるらしく、
その、かわいい! と思う反応は相手を守る行動に直結。
つまり、赤ちゃんのかわいらしさは、
自分自身を守る武器でもあるそうです。
もしかしたら、幼菌だって同じかも(笑)。
オオウスムラサキフウセンタケは、
夏から秋にかけて、東北地方や北海道など、
やや寒い地方で見られる針葉樹の森に発生する、
全体的に淡い紫色をした、中型〜大型のきのこです。
(時間とともに黄土色を帯びてきます)
傘は、直径3〜10cmほど。
球形〜まんじゅう形〜平ら、という感じで開き、
表面は繊維状で粘性はありません。
傘裏のヒダは、やや疏く、
成長するにつれて淡い黄土色〜肉桂色〜錆褐色と、
色が徐々に変化していきます。
柄は、太さ1〜3cm、高さ6〜10cmほど。
繊維状の皮膜に覆われ、下へいくほど太くなります。
食不適。
きのこを割いてみると、
鼻にツンとくる不快な匂いがするし、
全体的に褐色を帯びているし、
あまり食べる気にはなれません。
ましてや、幼菌は、超かわいいし(笑)。
そうそう、かわいい赤ちゃんを見たとき、
食べちゃいたい! などと感じることがあるのは、
「キュート・アグレッション(かわいい攻撃性)」
と名づけられていて、
かわいいものを見たとき、おいしいものを見たときに、
活性化する脳の部分が酷似しているということで、
脳の勘違いによって起きる感情らしいです。
話がややずれてしまいますが、
ぼくは、かつて、親戚に赤ちゃんが生まれたとき、
人間の子どもより柴犬の子どものほうがかわいい!
と、ついつい口走ってしまって、
しばらく口をきいてもらえなかった、
というあまりよろしくない過去があります。
「ドコノコ」を見てにやにやするような、
犬猫ファンの皆さまは、お気をつけのほどを。