阿寒湖周辺を含む、北海道の東部に広がる森は、
トドマツやエゾマツを中心にした北方圏的針葉樹林、
というイメージを持つ方が多いのですが、
実は、針葉樹林と広葉樹林が入り混じった、
針広混交林(しんこうこんこうりん)という形態が、
いちばん一般的なんです。
常緑のマツがたくさん生えているということは、
たとえ雪が大量に降り積もった真冬であっても、
森へ行けば青々とした葉が必ず視野に入るので、
四季を通じて森の緑を堪能することができるんです。
緑色は、なんか、落ち着いた感じを醸し出していて、
ほっとしますよね。
春から秋であれば、木々の葉の緑に加えて、
コケやシダや地衣類など「地面の緑」も加わるので、
森の緑は本当に多彩になります。
ほんと、うっとりしますよ、うっとり。
ぼくは、きのこや粘菌の写真なんぞを撮るために、
阿寒の緑の森へ、ほぼ毎日入り浸っているわけで、
心の底から堪能させていただいております、はい。
そして、針葉樹も広葉樹も生えているということは、
生態系が多様で、きのこの「好物」もたくさん。
生きた木、朽木、倒木から、生物遺骸に排出物まで、
なんでもございの阿寒の森は、
いわば、きのこの食料のバイキング(笑)。
たくさんのきのこが見られるのも当然です。
さて、ササタケの好物は何でしょう?
針葉樹林の地上から発生(夏~秋)するので、
各種木材などを「食べる」きのこではなく、
地中に伸びた菌根という器官で森の木々と繋がって、
お互いに栄養のやりとりをする、菌根菌かな。
つまり、好物は、生木の生産物……?
傘の直径は、2~5cmくらい。
黄土褐色で繊維質、細かい鱗片があり、
まんじゅう形からやや中高の平らに開きます。
粘性はありません。
傘裏のヒダは密で、帯黄色からやがて錆褐色に。
柄は高さ3~8cm。
中空で、上下ほぼ同じ太さです。
表面は繊維質でささくれた感じ。
上側は帯黄色、下側はほぼ傘と同色です。
近縁種がたくさんあるので、
同定はけっこう難しいかもしれません……。
毒成分は不明ながら、
誤食すると胃腸系の中毒を引き起こすようです。
くれぐれもご用心のほどを。
そうそう、食べ放題サービスのことを、
日本ではなぜ「バイキング」と言うのか、
ちょっと気になって調べてみたら、
日本初の食べ放題サービスを行ったレストランの名が、
「バイキング」だったことが、語源のようです。