好きな森を3つ挙げろ、と言われたら、
当然のことながら、北海道の阿寒湖周辺の森、
そして、東北地方の白神山地の森、
同じく東北地方の十和田八甲田地域の森、
と、迷わず答えると思います。
ぼくは東北地方と北海道の森しかほぼ知らないので、
他に言いようがないんですけど……(笑)。
阿寒湖周辺と十和田八甲田地域は国立公園、
白神山地は世界遺産(自然遺産)に指定されており、
どこもかしこも自由に動き回れる、
というわけではありませんが、
設置されている登山道や遊歩道を歩くだけでも、
素晴らしい自然に触れることができます。
共通しているのは、豊かな森があること。
と、いうことは、森の血液とも言える、
沢や川ももれなくついているので、
きれいな空気と、きれいな水に満ちた、
はるか昔から続く森の景色を目の当たりにできます。
毎年6月頃に北海道へ渡り、阿寒の森へ入ると、
見慣れているようでもすごく新鮮に見えるんですよね。
何年も何年も訪れているのにいつも感動します。
そして、はあはあ、と呼吸を荒くしていると、
森を満たしている、香りや、音が、
記憶の底から呼び起こされた記憶と合致して、
ああ、今年もここへ帰ってきたなあ、
という気持ちになるわけです。
そして、5か月くらい滞在すると、
いつの間にか非日常の世界が日常になっているので、
当初の感動が徐々に薄らいでいくのですが、
晩秋を迎える頃に、北海道を離れ、
東北地方の白神山地や十和田八甲田の森に入ると、
またまたリセットされていた記憶を思い出し、
新たな感動に打ち震えるわけです(笑)。
で、改めて、今回の写真をご覧あれ。
何か、いつもとちょっと雰囲気が違うなあ、
と思った方は、素晴らしい!
それもそのはず、この写真は、
東北地方の八甲田山周辺の森で撮影しました。
秋も後半を迎えた、ブナの森。
阿寒湖周辺とは違う雰囲気を醸し出しています。
それにしても、
きのこらしからぬ形をしたきのこです。
動物のフンみたい?
確かに!
クチキトサカタケは、秋に、
主にブナの倒木から発生します。
塊となった基部から発生している子実体は、
棒のような、平らなような、そう、まさに、
ニワトリの鶏冠がたくさん集まったような形。
平滑で、先端は丸くなっています。
朽ちた木から発生する鶏冠のようなきのこ、
クチキ・トサカ・タケ、
という名前が体を表しています。
色は最初、灰黄緑色〜緑がかった灰色で、
徐々にオリーブ色へと変化していきます。
一見、硬そうですけど、
弾力があって、しなやかな手触りです。
食不適。 さもあらん、の形ですよね。
何より、クチキトサカタケは、
環境省のレッドデータブックにおいて、
「絶滅危惧1類 CR+EN」
絶滅の危機に瀕している種とされています。
東北地方のブナの森へ行くと、
比較的簡単に見つかるきのこですが、
ぜひ、採取などはせず、もちろん食べたりせず、
見守っていただきたいと思います。
ブナの森がまたいいんだよなあ……。