さて、読者の皆さまは、
雨が降っている日に森へ出かけたことがありますか?
自然がとても好きな人でも、
雨が降っているとなれば、
森へ行くのを躊躇しちゃうかもしれませんね。
だって、傘を差しても、やはり濡れちゃいますから……。
行動範囲も晴天の日より制限されるかもしれませんし。
でも、ぼくは、あえて、雨の日の森の散策を、
オススメしたいと思うわけです。
狙いは、あまり風が吹いてない、しとしと降りのとき。
(ま、この際、雨上がりでもいいです……)
森へ行くのはなかなかハードルが高いと思うので、
まずは、近所にある緑が多い場所、
公園とか神社仏閣を訪れてみてください。
傘を差すなら、透明なビニール製がいいです。
光の遮りを最小限に抑えることができます。
雨の日の森は、そりゃあ、ステキですぜ!
生きものという生きもの、特に植物が、水を得て、
本当に瑞々しく、生き生きとしてるんです。
雨ならではの森の香りもたまりません。
それにしても、コケの美しさときたら、もう。
まるで宝石のように水滴をまとって、きらきら。
それもそのはず、コケは、必要な水分や養分を、
体の外側から吸収するので、小さな小さな世界ですが、
躍動するような水の流れを見ることができるんです。
もちろん、きのこも、しっとりが大好き。
なんせ、カビの仲間、というか、カビの一種ですから。
雄阿寒岳の山麓にある森の一角に、
ぼくが「コケコケの森」と名づけた場所があるのですが、
そこは、本当に、コケ天国なんです。
トドマツの林床は、コケ、コケ、コケ……。
およそ30種類のコケを堪能できるのですが、
気がつけば、いつの間にか、本能が、
ついついきのこを探しているんですよね(笑)。
ありました!きのこ!
すごく小さいものの、鮮やかなオレンジ色なので、
ホソバミズゴケの、幾重にも重なり合う葉や、
林立する黒い胞子体(これもきのこっぽい!)よりも、
贔屓目もありますが、数倍目立ちます。
その名も、ミズゴケノハナ。
いやあ、ステキな名前ですよね。
それもそのはず、このきのこは、
夏から秋にかけてミズゴケの間から発生します。
鮮橙色〜鮮赤色の傘の直径は、0.5〜2cmくらいで、
中央がやや凹んだ平たいまんじゅう形に開きます。
ヒダは疏(あら)で、柄に向かって伸びている「垂生」。
柄は傘と同色で、高さは2〜5cmくらいです。
食不適。
ふむ、もし、見つけたら、
観察に徹しようじゃありませんか!
雨の中、森へ出かけたおかげで、
こんなにもステキなシーンに出会えました。
雨、さまさまです。
それにしても、コケときのこの相性は、
生態的にも、観察するにも、写真を撮るにも、
ばっちりだと思いませんか?