ぼくは倒木ファンなので、
時間と環境が許すならば、つまり、
暇があって、立入禁止などの場所じゃなければ、
倒木を見つけ次第、すぐさま駆け寄り、
上も下も、右も左も、表も裏も、とにかく、
全体をチェックしたくてうずうずしちゃうんです。
ですから、都会の神社仏閣や庭園や公園に行くと、
欲求不満で、イライラ、イライラ……。
そう、せっかく目の前にステキな倒木があるのに、
立入禁止の立て札やロープが立ちはだかるわけです。
(もちろん、社会のルールは守ります!)
それはそうと、
倒木の、どこを、何を、チェックするかというと、
まず、きのこや粘菌がいるかいないか。
次に、どんなコケや地衣類がついているか。
そして、たまには、
アリや、クモや、ザトウムシなどなど、
動く生きものの行方を追いかけたりもします。
そのために、東京や大阪へ行くときでも、
バックの中にはルーペ(10倍)を入れてあります。
倒木を見つけるのはけっこう大変かもしれませんが、
コケや地衣類を観察するのであれば、
街路樹などの周囲を見渡せばほぼ見つかるはず。
まずは、肉眼で。
そして、ルーペを使って。
じっくりじっくり見れば見るほど、
(周囲の人々の視線にご留意あれ……)
精緻で、美しい、惚れ惚れする個体が見つかります。
どれほど小さな造形物でも、
自然は決して手抜きをしてません(笑)。
アートを鑑賞しているのとほとんど同じ感覚ですな。
ぼくは阿寒の森の各地に、
お気に入りの倒木があるのですが、
夏から秋にかけての楽しみのひとつが、
今回ご紹介する、シラウオタケの観察です。
シラウオタケは、高さ1〜2cm、幅1mmほどで、
朽木の表面に多数群生します。
基本的には枝分かれしないのですが、
この写真のセンターを飾る個体のように、
もちろん、例外もあります。
シラウオタケが生える場所には必ず緑藻があるので、
生態的な共生関係が論じられています。
菌類と藻類の共生と言えば、ご存知、地衣類。
そう、シラウオタケは地衣類ともみなされているんです。
食不適。
さもあらん。
これほど小さいきのこ(地衣類)を、
食べたいと思う人は少ないですよね。
(口にすると苦い、という説も……)
ちなみに、最近の分子系統学的分類によるなら、
シラウオタケはアンズタケと近縁らしいです。
見た目とは全然違いますけど。
それにしても、
阿寒の森は、人の手があまり入っていないので、
そこここ、いたるところに倒木があり、
目移りして困ってしまいます。
まあ、それが、十何年も通っているのに、
まったく飽きることがない理由なのですが……。
シラウオタケは、以前にも登場しております。
地衣類についても少し触れているので、
興味がある方はこちらをご覧あれ。