写真の後方には、けっこう整った形をしていて、
しかも群生しているきのこがあるのに、
なぜか、ピントは、手前の小さなきのこに……。
もちろん、最初は、後ろの白いきのこを見つけて、
倒れて数年経つトドマツの倒木に近づいたのですが、
この小さなきのこを見つけるやいなや、
後ろのきのこはどうでもよくなっちゃいました(笑)。
「きのこ目」健在、と、
見つけた自分を褒めました、はい。
サビイロクビオレタケです。
さて、この、
赤茶色でブツブツがある小さなきのこは、
いわゆる、冬虫夏草です。
そう、木とか地面から発生するのではなく、
昆虫から発生しています。
最近、虫を、嫌がるというより、
怖がる人が増えたような気がするのですが、
それはそうと、
悲鳴をあげるほど虫が嫌でたまらないのに、
たとえ他意であっても、いやいやながらでも、
札幌のような大都会ではなく、
あえて、虫の巣窟、虫王国の森をかかえる、
阿寒湖を訪れてみようなどとお考えの方は、
サビイロクビオレタケをはじめとする、
冬虫夏草にエールを送りましょう。
だって、虫にとりついて、
虫を殺してくれるわけですから……。
(もちろん生態系が変わるほどではありませんが)
ひと口に冬虫夏草と言っても、
種類はとてもたくさんあります。
ひとつのきのこがいろいろな昆虫に寄生するのではなく、
ハチタケはハチ、セミタケはセミ、というように、
きのこによって寄生する相手がほぼ決まっています。
ちなみに、サビイロクビオレタケは、
朽木の中にいるキアブの幼虫から主に発生します。
子実体は褐色〜濃褐色で、長さは10mm前後。
宿主の尾部や胸部から1〜2本生じます。
ブツブツ(子嚢殻)がたくさんある頭部は、
柄の上部に枕状に側生していて、
通常はこの部分でかくんと折れ曲がるようです。
確かに、毒は無さそうですが、
小さいし、アブの幼虫そのものの形だし、
食不適、というのは、万人が納得するかと。
サビイロクビオレタケが、
多数発生している倒木を見つけると、
宝の木を見つけたように嬉しくなります。
わかる人少ないだろうなあ、この感じ……(笑)。
アブの幼虫からどんな感じで発生しているのか、
知りたいという方はこちらをご覧あれ。
生命、そして、生きものの不思議さを、
まざまざと感じますな。