ぼくは、阿寒湖に滞在していると、
仕事でもプライベートでも、ほとんど毎日、
森へ通っています。
どうしてそんなに森が好きなのか、
自分でもよくわからない部分があるのですが(笑)、
まあ、人生、好きなことをしているうちが華ですな。
好きなもの、好きなこと、と言うのは、
言い換えると、自分にとって価値があるもの、です。
自分以外の人と価値を共有できるものはいいですが、
他人にはあまり理解してもらえないようなものに、
入れあげてしまうと、これがなかなか大変です。
しかし、逆を言うなら、世の中の人が、
あまり興味を持ってないと思われるものに、
極めて個人的に価値を見出している場合は、
とても幸せな状態なのではないかと思うわけです。
(他人に価値観を押し付けるのは論外ですが)
阿寒の森へ一歩足を踏み入れたら、
それこそいろいろなきのこや粘菌がいます。
コケだって、木の葉だって、この上なく美しい。
すぐにテンションが上がって、恍惚状態に……。
阿寒の森は、自然おたくの、秋葉原だ(笑)!
まあ、それはそれとして。
この写真のヌメリササタケ、かわいいでしょう!
かわいいとか、美しいとか思う感情は、すなわち、
その対象に何かしらの価値を見出している、
ということに他なりません。
ほら、あなたも、だんだん、
きのこ全般が、好きになる、好きになる……(笑)。
ヌメリササタケは、夏から秋にかけて、
針葉樹、広葉樹を問わずに森の地面から発生します。
傘は、直径3~10cmほど。
黄土色~茶褐色で、著しく粘性があり、
半球形からまんじゅう形、やがて平らに開きます。
傘裏のヒダは成長とともに灰色から錆色に変化。
柄は上下同大で粘性があり、淡い紫色。
高さは6cm~10cmくらいになります。
食。
歯ごたえがよく、ほんのり甘みもあり、
おまけにぬめりまであるので、汁物にぴったりです。
フウセンタケの仲間で、
この手のぬめぬめのきのこはいくつかあり、
ぼくもなかなか同定しづらいのですが、
少しでも怪しいと思うきのこは、
くれぐれも口にしませんように。
それにしても、
世の中には、お金に換算できない価値が、
けっこうたくさんあると思うんです。
水や空気はタダだから価値が無いかと言ったら、
まったく逆の話ですよね。
読者の皆さんも、機会があったら、
一度、じっくり、考えてみてください。